完全に心を折られ、悲惨そのもの。韓国の体たらくに一抹の寂しさも…【コラム】

カテゴリ:日本代表

白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

2022年07月28日

憎たらしいほど勝負強い時代があっただけに

日本に完敗を喫した韓国。枠内シュート1本と惨憺たる出来だった。写真:塚本凜平(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

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 E-1選手権の優勝がかかった大一番。何より結果が求められる韓国戦で、日本は3-0と快勝を収めた。守備がやや不安定だった前半はさて置き、相馬の先制弾で流れを掴んだ後半のパフォーマンスは秀逸で、相手に付け入る隙を与えなかった。

 前半は少し間延びしていた陣形を、後半に入って修正。コンパクトさを保った状況下で49分に藤田のクロスに頭で合わせた相馬のゴールで先制すると、続く63分には相馬のCKから佐々木のヘッドで加点し、さらに72分には西村、小池、町野の素晴らしい連係からダメを押した。その後も韓国にペースを握らせず、後半に限れば危なげない戦いぶりで会心の勝利を飾ったのだ。

 なかでも際立っていた選手は左ウイングの相馬である。立ち上がりから積極的にドリブルで仕掛け、ゴールとアシストもマーク。香港戦や中国戦でも存在感を示した今回のE-1選手権での活躍によって、ワールドカップのメンバー入りを叶えるかという希望を膨らませた点で、「素晴らしい」のひと言である。

 また、細かいミスはあったものの、中盤での巧みなボール捌き、気の利いた守備が光った藤田もE-1選手権で株を上げた選手だろう。香港戦に続いて、韓国戦でもゴールを決めた町野も含め、アピールに成功した選手がいた事実はポジティブに受け止めたい。
 
 ただし、韓国戦の勝利を素直に喜べない自分がいる。何しろ、この日の韓国は弱すぎた。0-1とリードされた後の彼らのパフォーマンスの酷さは悲惨そのもの。目立つのはファウルまがいの荒いプレーだけで、完全に心を折られた状態だった。そんな韓国に勝ったところで……と、少し冷めた自分がいるのである。

 もちろん韓国の心を折った日本の戦いぶりを誉めるべきだが、それ以上に韓国の体たらくに目が行ってしまった。彼らが憎らしいほど勝負強かった時代があっただけに、なんだか寂しい気持ちにもなる。

 日本、韓国とも海外組を含むベストメンバーで戦ったら、また違った試合内容、結果になるだろうが、それも仮定の話。「3−0」という結果が唯一の事実であり、言い訳無用である。文字通り完敗だったこの一戦が韓国に及ぼす影響は予想以上に大きいかもしれない。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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