森保監督もワクワクしているはず。今や野津田岳人は世界基準の強度を備えたプレーヤーに

カテゴリ:日本代表

元川悦子

2022年07月23日

人生を賭けて移籍した甲府では…

28歳でA代表初選出の野津田。中国戦でチャンスをもらえれば、期待に応えるパフォーマンスを見せたい。写真:徳原隆元

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 7月19日に行なわれたE-1選手権の初戦で、日本代表は香港代表に6-0で大勝した。次戦は24日の中国戦。アレクサンドル・ヤンコビッチ監督率いる今回の中国はU-23世代で構成され、20日の韓国戦は0-3で落としている。

 日本にとって格下と位置付けられるが、球際や寄せの激しさ、荒々しいプレーなど注意すべき点は少なくない。確実に勝点3を手にして、27日の韓国との大一番に臨みたいところだ。

 中国戦では、17日にJ1の公式戦があったため香港戦を回避したサンフレッチェ広島勢中心の構成になると見られる。中盤は森島司、満田誠、野津田岳人のトリオが揃ってピッチに立つだろう。

 28歳にしてA代表初選出の野津田は「自分の武器は攻撃で違いを見せたり、チャンスを作ったり、セットプレーのキック。チームとしてやるべきことに、そこをプラスアルファできたらいい」と強い意欲をのぞかせた。

 ご存じの通り、野津田は広島ユース時代の2011~12年には高円宮杯チャンピオンシップで二度のMVPに輝くなど、未来を嘱望された選手だった。プロデビューは、2種登録だった12年3月の清水エスパルス戦。トップ昇格1年目の2013年には20試合に出場し4ゴールという結果を残し、当時の森保一監督からも高評価を与えられるなど、「近未来の日本サッカー界を担う逸材」と目されていた。

 ところが、2014年以降はコンスタントに出番を得られず、足踏みを強いられる。「2016年のリオデジャネイロ五輪に出て、そのままA代表に入っていければ……というのを一番の目標にしていた」。それを叶えるために、2016年3月末にアルビレックス新潟へレンタル移籍。だが、五輪は予備登録止まり。本人の失望感は強かったはずだ。

 翌2017年は心機一転、清水へ赴いたが、ここでもメンタル的に難しい状態に陥り、半年後にベガルタ仙台へ移籍。2018年末までプレーし、2019年には古巣・広島に戻ってきた。翌2020年からはボランチでもトライし始めるが、またも出番を減らしていく結果となり、2021年にはヴァンフォーレ甲府へ新天地を求める。
 
「本当にここで活躍しないとキャリア的にも終わってしまうくらいの気持ちだった」と語るように、人生を賭ける覚悟を持って、自身4度目のレンタル移籍に踏み切ったのだ。

 迷える野津田に絶大な信頼を寄せたのが、伊藤彰監督(現・磐田監督)だった。

「毎試合、ボランチのところで修正する部分や課題をずっと言われてきたので、自分自身と向き合えた。それは大きかったし、今まで見えていなかった部分、意識していなかった部分を見直すことができたんです。ボランチとしてシーズンを通して戦うのも初めてだったけど、すごく適応できた。伊藤監督には感謝したいです」と野津田はしみじみと話す。
 
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