E-１の初戦で日本は香港に６－０。圧勝だったね。

　日本は終始、ペースを握っていたように、明らかな実力差があった。こういうゲームでは、良いプレーだけでなく、単純なミスも目立ってしまう。できて当たり前と見られるから、その意味では難しさがあったんじゃないかな。

　それでも、ピッチに立った選手たちは、それぞれの特長を出せていたと思う。山根の効果的なオーバーラップとか、水沼の高精度クロスとか。この２人は、連係面でも息が合っていた。水沼と山根は、セットでひとつのオプションになりそうだね。

　代表デビュー戦で、いきなり２得点の町野も良かった。今季はベルマーレでここまで得点ランク４位タイの８ゴール。代表の舞台でも期待通りのパフォーマンスを見せた。

　ベルマーレは攻守両面でアグレッシブなチーム。攻撃だけでなく、守備もみんなが全力でやる。そういうサッカーで、守備も頑張りながら、ゴール前に走ってフィニッシュに絡むのは、まあ、キツいと言えばキツい（笑）。でも、町野はそれをこなしている。
 

　代表はまた違ったスタイルで、しかも香港が相手なら、ポゼッションで優位に立てる。自分たちがボールを保持する時間が長い戦い方の中で、町野はどうフィットするか注目したけど、何の問題もなかったね。

　ボールを収めて、タメを作って、周りを落ち着かせる。チャンスが数多くあるなかで、点が取れるポジショニング、チャンスを決め切る決定力を発揮した。

　ベルマーレのサッカーにハマっているし、本人も充実していると思うけど、たとえばポゼッション主体のチームでなら、プレーの幅はまた広がりそうな気がした。

　香港戦でポテンシャルは十分に示した。E-１は残り２試合。中国、韓国を相手に町野がどんなプレーを見せるか楽しみだね。

【著者プロフィール】
岩本輝雄（いわもと・てるお）／1972年５月２日、50歳。神奈川県横浜市出身。現役時代はフジタ／平塚、京都、川崎、V川崎、仙台、名古屋でプレー。仙台時代に決めた“40メートルFK弾”は今も語り草に。元日本代表10番。引退後は解説や指導者として活躍。「フットボールトラベラー」の肩書で、欧州CLから地元の高校サッカーまで、ジャンル・カテゴリーを問わずフットボールを観戦＆研究する日々を過ごす。

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