キリアン・エムバペのパリ・サンジェルマン残留騒動の余波は、留まるところを知らない。

　今シーズン限りで契約切れ→今夏にフリーでレアル・マドリーへ移籍、が規定路線のように報じられていた23歳のフランス代表FWは、一転して契約を更新。マドリーへの移籍は破談となった。現地報道によれば、パリSGは契約金３億ユーロ（約390億円）と年俸１億円（約130億円）をオファーしたという。

　こうした状況を受けて、パリSGとナセル・アル・ケライフィ会長を痛烈に批判したのが、ラ・リーガのハビエル・テバス会長だった。

「ここ最近のシーズンで７億ユーロ（約910億円）の損失を出し、６億ユーロ（約780億円）以上の給与を支払った後、エムバペと莫大な金額で契約更新するとは、パリSGが行なっているのは、サッカーに対する侮辱だ」

　さらにその後、ラ・リーガは次のような公式声明を発表している。

「パリSGは昨シーズン、２億2000万ユーロ（約286億円）の損失を計上し、今シーズンは６億5000万ユーロ（約840億円）の人件費を支払ったクラブが、今回のような契約を結ぶのはスキャンダラスであり、こうした契約は欧州サッカーの経済の安定を壊す。以上の理由により、欧州サッカー連盟、フランスの行政・財政当局、欧州連合（EU）の管轄機関に対し、パリSGへの提訴を行なう」

　そして５月26日、こうしたラ・リーガの言動に猛反論したのが、パリSGが所属するリーグ・アンを所管するフランス・プロサッカーリーグ連盟のヴィンセント・ラブルーネ会長だ。英公共放送『BBC』などが伝えたところによれば、テバス会長に宛てた書面で、次のように糾弾している。

「あなたの無礼な中傷は、今や世界最高の選手の一人として広く認識されており、同じオファーを受けたにもかかわらず、選択によってあなたのリーグに参加しないことを決めたエムバペに向けられているようだ。リーグ・アンと我々のクラブの１つであるパリ・サンジェルマン、我々の選手のひとりであるエムバペに対して、財政の持続不可能性と競争の不均衡に基づいて侮辱しているが、そうしたルールはあなたも作成に関わっている」