［J１第11節］浦和３－３横浜／５月18日／埼玉スタジアム2002

　浦和レッズは５月18日、ACL参戦で延期されていたJ１第11節で横浜F・マリノスと対戦し、３－３で引き分けた。この結果、リーグ戦での引き分けは6試合連続となり、思うように勝点を積み重ねられていない状況は続いている。

　しかし、前半の０－３から後半45分間だけで追いついたドローには、リカルド・ロドリゲス監督が「選手たちが最後の最後まで全てをピッチに出し尽くしてくれた、そのスピリットがすごく良かった」と話したように、選手たちのメンタル的な覚悟が決まったプレーぶりが大きかった。

　前半は今季ワーストとも言える崩壊ぶりで、相手のスカウティングをしたうえで試合毎に対策を施すロドリゲス監督の打った手はかなり悪いほうに出た。特に小泉佳穂を右サイドハーフに置いたスタートは、相手のストロングポイントと自分たちのウィークポイントが重なってしまうような状況を生んだ。

　指揮官が試合後に「馬渡（和彰）と関根（貴大）を両サイドの担当にして、５枚にするようになって押し込まれなくなった」と話した修正は立て直しに寄与したが、そもそもスタートの時点でハマらなさすぎたのは事実だ。

　一方で、３点のビハインドを追いついた後半は、追い込まれたチームが背中を押されるように迷いを振り切った姿があった。この横浜戦の前までリーグ戦は３試合連続スコアレスドローで、ゴールの遠い試合が続いた。数的不利でも突っ込んでいく無理な仕掛けもあれば、適切なリスクを背負えない後ろに重いプレー選択もあり、何か１つに原因を絞るのは難しいものの、どこか煮え切らない試合をしていた。

　それが、この３点を追う後半になると、ギャンブル性の高いリスクを背負った戦術と、背後のスペースを広くして試合を運んだ横浜の出方が噛み合ったとはいえ、選手たちが前へとボールを運び、あるいは自分たちも追い越していくことで攻撃のベクトルがゴール方向に集約された姿があった。
 

　うまく整理されていたとは言えず、即興的で粗削りな感は否めなかったものの、ホームの埼玉スタジアムが生み出した空気感と相まって、横浜を飲み込むような大きなうねりになった。

　途中出場で１アシストの松尾佑介は「どんな試合でも勢いを出してゴールに向かっていく迫力を見せなければ、試合に良い流れは持ってこられないと再確認した」と話す。シンプルな背後狙いが機能した理由は横浜の出方が大きいが、ドリブルにしてもパスにしても、自分たちから攻撃のスイッチを入れに行く姿勢は、ここ数試合の浦和に欠けていたものだろう。

　後半だけでハットトリックを決めたキャスパー・ユンカーは、「このような試合では全員が100パーセントのプレスをかけて勝ちたいという気持ちを見せなければいけない。後半は開始から最後まで『浦和はこうあるべき』という姿を見せることができた」と振り返る。

　確かに前半の３失点は良いものではなく課題も多い。一方で、この３得点が浦和にとって何かが吹っ切れるキッカケになるのかどうか。21日に再びホームの埼玉スタジアムで２位の鹿島アントラーズを迎える試合は、サポーターも含めたクラブ同士の伝統的なライバル意識も相まって、その勢いを本物にできるのかどうかという点でも大きな分岐点になりそうだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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