【東京V】08年以来のJ1も見えてきた? GM、指揮官、選手が語る快進撃の理由

カテゴリ:Jリーグ

海江田哲朗

2015年08月08日

選手に応じた“心のくすぐり方”を知る指揮官。

27節終了時で3位につける東京V。2位磐田にも勝点4差と迫る。(C) SOCCER DIGEST

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 夏を迎え、東京Vが快進撃を見せている。24節の北九州戦から4連勝。もたつく他チームを抜き去り、一気に3位まで順位を上げてきた。
 
 チームを率いる冨樫剛一監督は、昨年9月、J3降格の危機に瀕したチームを託され、20位で残留のミッションをクリア。今季も引き続き指揮を執っている。
 
 冨樫監督のチーム作りについて、竹本一彦GMはこう語る。
「チーム内に公平な競争がある。選手は常に見られている意識があり、いざ起用されれば自分のストロングポイントを出せばいいと、思い切ってプレーできる。そう仕向けられるのは、冨樫の最も秀でている点だと思います」
 
 チームにはユース監督時代の教え子が数多くいる。澤井直人はそのひとりだ。
「トップの監督になってからも、冨樫さんは特に変わりませんね。力むこともなければ、偉ぶることもない。ふだんは冗談ばかり言って笑わせ、たまに怒る時はマジで恐ろしい」
 
 今季、澤井はレギュラーの座を有力視されながら、開幕2戦は出場機会がなかった。その時は冨樫監督から呼び出され、試合に備えることの重要性について、30分ほど諭すように話されたという。澤井は不満によって練習態度を崩すタイプではないが、長く指導してきた冨樫監督には感じるものがあったのだろう。選手の心の揺れ動きを敏感に察する細やかさがある。
 
「俺ら(ユース育ちの選手)には、冨樫さんのために戦うという気持ちがあります。でも、そういうのを歓迎する人じゃないんですよ。だから表には出しませんけどね」(澤井)
 
 冨樫監督は選手の好不調のバイオリズムを観察しながらメンバーを入れ替え、一方でチームの骨子となる選手には格別の信を置く。GK佐藤優也、CB井林章、MF中後雅喜、FW平本一樹のセンターラインがそれだ。

昨季途中に就任した冨樫監督。2年目の今季は昇格に手が届く位置にまでチームを躍進させた。(C) SOCCER DIGEST

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 今季からキャプテンに就任した井林はJ2屈指のCBに成長。中後は攻守にわたってまさに獅子奮迅の活躍である。「自分が必要とされ、試合に出続けることで、良いメンタルの状態を保てている」と中後は充実の表情だ。
 
 おそらく冨樫監督は、ベテランにはベテランの、若手には若手の、心のくすぐり方を知っているに違いない。
 
「特別なことはなにも。中後のプレー、見ていれば分かるでしょ? あんな巧い選手、そうそういませんよ。自分自身が大したプレーヤーではなかったから余計にそう思う。ベンチから見ていて、『うめえなぁ』って思わず声が出るもん。攻撃ではチャンスを見逃さずボールを動かし、危ない場面では真っ先に潰しに行く。そのことは僕だけではなく、選手の誰もが認めているはずです。だからこそ、彼の動きに周りが呼応する。もちろん、中後だってミスはしますよ。その時もついつい『おい、なにやってんだよ』と声が出ちゃいますね」(冨樫監督)
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