リバプールがノーリッジにFAカップで勝利した後の見出しは、南野拓実と彼の２つのゴールが独占した。称えられたのは、得点だけでなく全体的なパフォーマンスだった。

　辛口で知られるマンチェスター・ユナイテッドのレジェンド、ロイ・キーンでさえ南野を評価。ユルゲン・クロップ監督も「最高のパフォーマンスだった」と称賛した。

　これは素晴らしいニュースであるが、一方で彼にジレンマを与えている。

　南野のこの日のプレーを見れば、最高レベルでプレーできる選手だと誰もが思うだろう。しかし、彼はプレーしているのは世界最高のチームのひとつだ。リバプールの主力になれるかと言えば話は別だ。その道は近いようで遠い。彼はあくまでチームで６番目のアタッカーなのだ。

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　南野はディボック・オリギと同等の序列にあり、リバプールにとっては、このクラスの選手を抱えておけるのは幸運だ。彼らはプレーを求められたとき――例えばカップ戦のような――にチームに貢献し、満足させられるキャラクターを持っている。リバプールのチーム周辺から不満の声は聞こえてこない。それが、チームを成功させるために必要なことだ。

　クロップとジェームズ・ミルナーは、南野について、ノーリッジ戦の結果だけでなく、彼のトレーニングでの姿勢や日頃の振る舞いにも賛辞を贈った。ミルナーはピッチで提供するものと同じくらい、南野の人柄を称賛した。

　南野はリバプールには最適な戦力だ。彼が先発に入れば、レギュラー陣は休息できる。リバプールは４冠に挑戦してきたため、多大な負担をかかっている。だが、南野らがいれば、モハメド・サラーとサディオ・マネは休むことができる。

　だが、いくらカップ戦で活躍しても、いくら真摯にトレーニングに打ち込んでも、立場はあくまでバックアッパーだ。チームには必要な戦力だが、残念ながら今後も重要な試合でスタメンを張るのは難しいだろう。

　出場機会を求めて南野がクラブを去るなら、彼はファンのお気に入りとして心に残るだろう。多くのリバプール・ファンやコーチ陣は、彼がいなければ、カラバオカップで優勝することはなかったと知っている。準々決勝でのレスター戦で決めた劇的な同点弾は、ファンに鮮明に記憶されているのだ。

文●スティーブ・マッケンジー（サッカーダイジェスト・ヨーロッパ）

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