[高校選手権２回戦]帝京長岡３-２神村学園／12月31日（金）／等々力陸上競技場

　試合終了のホイッスルが鳴った瞬間、ピッチに崩れ落ちた。こぼれる涙を何度もユニホームで拭う。大会ナンバーワンストライカーの呼び声も高かった福田師王の選手権が終わった。

　第100回全国高校サッカー選手権で２回戦から登場した神村学園は、初戦で帝京長岡と対戦。前半に２失点を喫し、後半に２点を返したものの、一歩及ばず２-３と敗れた。

　Ｕ-18日本代表にも選ばれている神村学園のＦＷ福田師王（２年）は、相手のＤＦ桑原航太（２年）に「試合前から凄い選手だと分かっていた」と警戒されたとおり、立ち上がりから厳しいマークに遭う。前半アディショナルタイムのシュートも相手GKに阻まれた。
 

　それでも後半になると、福田は息を吹き返す。４分、CKでキッカーの大迫塁から鋭いボールが入ると、素早い動き出しからニアサイドに強烈ヘッドを突き刺した。徹底マークを苦にしない得点センスで相手に確かな衝撃を与え、劣勢だったチームも試合の流れを引き戻した。

　さらに福田は後半36分にも魅せる。またしても右CKから大迫のボールに合わせ、頭でファーに流してＭＦ佐藤璃樹（３年）のゴールをアシスト。これまた跳躍力抜群の衝撃ヘッドで、大会前の期待に違わぬ圧巻プレーを披露した。

　しかし前半に２点、後半に１点を許したチームは２-３で敗戦。仲間がロッカールームに引き上げるなか、福田は最後尾でチームメイトに抱えられながら歩き、振り返って深々と等々力のピッチに頭を下げる。そしてこらえきれず、再びグラウンド脇に崩れ落ちた。

　そんな福田に有村圭一郎監督が、こんなメッセージを送った。

「彼の強さやストライカーとしての資質は今日のゲームでも際立っていましたが、まだ決めれる場面があったので、そこを本人もたぶん悔しがってるんだと思います。もっと日本を代表するような選手になってもらいたいし、そうなっていかなきゃいけない。今日はたぶん、本人は自分の得点でチームを勝たせられなかったことをすごく悔やんでると思うので、そういうことを一緒に向き合いながら来年もやっていきたいです」

　まだ２年生。来年、どう成長して選手権の舞台に帰って来るのか。悔し涙が糧になるはずだ。

取材・文●志水麗鑑（サッカーダイジェスト編集部）