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「夜中に目を覚まし、思いついたアイデアを枕もとにあるメモ帳に…」。村井チェアマンが任期8年で貫いたスタンスとは?

カテゴリ:Jリーグ

白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

2021年12月27日

私の決断が正しかったかは歴史が証明する

22年3月に任期満了を迎える村井チェアマン。「365日、サッカーのことだけを考えてきた」スタンスがなければ、ここまでJリーグは発展しなかっただろう。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 14年1月に就任して以降、Jリーグの組織改編を進め、『シャレン!』なる社会活動もスタートさせた。ファン・サポーター、Jリーガーなどの声も吸い上げ、迅速な決断でチェアマンの仕事を精力的にこなした村井満氏。22年3月に8年の任期満了を迎えるにあたり、何を思うのか──。今回が、本連載の最終回となる。

――――◆――――◆―――――

 チェアマンとしての日々は、言い換えれば決断の日々でした。呼吸をするたびに決断を迫られる。フッと息を吐くことがいわゆる判断をアウトプットする作業になっていて、その判断を誤るとミスリードになり、議論を混乱させる恐れがありました。私の呼吸そのものがタクトで、Jリーグを活性化もしくは停滞させる要因になると考えれば、決断という呼吸を続けるアクションがJリーグのチェアマンの仕事となるわけです。

 チェアマンとしてここまで、毎日24時間、Jリーグのことだけを考えてきました。決して大袈裟な表現だとは思っていません。夜中に目を覚まし、そこで思いついたアイデアを枕もとにあるメモ帳に書き留める作業も何度もしてきました。ですので、これまで私がこなした仕事を、ひと言で表現するとか、点数をつけるとか、そういう整理の仕方はできません。

 私がチェアマンとして心掛けていたのは、「サッカーは皆のもの」ということです。Jリーグは年間で約1千万人のお客様が来場されるコンテンツで、『DAZN』を通してとても大勢の方々が視聴するエンターテインメントです。ですから、決して私物化せず、とにかく決定事項はオープンにするスタンスでいました。
 

 私企業なら自身の直感と信念を信じて突き進めばいいわけですが、公益法人となるとそうはいきません。「サッカーは皆のもの」であるからこそ、私は広く意見を募りました。結果、毎月1回の実行委員会がいつしか2回、3回と開かれるようになり、昨年は対メディアの記者会見も約70回やりました。全クラブの社長とも意見交換するなかで、最適解を求めるという意識を常に持っていました。

 だからといって、すべてがスムーズに運んだわけではありません。例えば「Jリーグオフィシャルネーム&ナンバー」の導入には当初、クラブ側にチームの個性をフォントに反映させたいなどの理由で大反対されました。それでも今やJリーグをスマートフォンで観る時代になって、その小さな画面で選手を識別できる、もしくは色覚に問題がある方にも見えるデザインを提供したいと押し通しましたが、我々内部の管理不行き届きで納品が遅れ、大変な迷惑をかけました。いわば腕力で押し切ったにもかかわらず、そうした事態になってしまったことは失敗でした。

 元々は6つあった会社を「株式会社Jリーグ」に取りまとめるために株式の買い取りや買い戻しをするなど、ある程度の腕力を使ってやったこと(殴るわけではありません)は他にも多々あります。ただの意思決定だけでは実現できなくて、無理を承知で強引に進めていくなかでは当然ながら反発もありましたし、いろいろな場面で各方面に迷惑をかけた側面もあったことは十分に承知しています。これらの意思決定が正しかったかは歴史が証明すると考えています。
 
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