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「4-3-3は是か非か」という議論に意味はない。重要なのは指揮官のコンセプトと選手のキャラクターだ【小宮良之の日本サッカー兵法書】

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2021年11月13日

「システムなど電話番号のようなもの」

オーストラリア戦からシステムを変更した森保監督。(C)Getty Images

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 4-3-3は是か非か――。


 その議論に大した意味はないだろう。フォーメーションは、各ポジションを担当する選手のキャラクターによって大きく変わる。別のチームのような顔を見せる。

 同じ4-3-3でも、サイドを久保建英、堂安律、三笘薫が担当するのか、伊東純也、原口元気が担当するのか、あるいは前田大然、古橋亨梧、南野拓実が担当するのか。色合いはまったく違うものになるだろう。当然だが、中盤やサイドバック、センターバック、あるいはGKのキャラクターによっても、ずいぶんと変わる。

 ボールありきのコンビネーションを多用した攻撃型か、堅守カウンターのスピードとハードワークを生かしたリアクション型か、はたまた、どちらかのサイドで崩し、一方でストライカータイプが仕留める形か。

 指揮官のプレーコンセプト次第で様変わりするのだ。

「もし前に行けないなら、サイドを変えればいい。何の問題もない。然るべき時を待つ。自分たちがボールを回すことでね」

 FCバルセロナの監督に新たに就任したシャビはそう明言している。こうしたボールありきのプレーコンセプトなら、ボールを持て、ためを作り、コンビネーションを使って崩すような選手が必要になる。技術は低いが、走力を生かして裏に抜けるような選手のプライオリティは、当然ながら低くなるのだ。

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 指揮官が用意したプレーモデルを、どんなキャラクターの選手が運用するのか。それによって、色合いはいくらでも変わる。4-3-3という数字自体に大きな意味はない。

「システムなど電話番号のようなもので、その人の情報ではあるが、それは人物を表さない」

 伝説的な名将、セサル・ルイス・メノッティはそう語っている。選手たちがどのようにボールを受け、運び、渡し、崩し、奪えるのか。そのプレーが鍛えられていたら、試合でデザインとして現れる。システムを運用する個々の選手のキャラクターによって、微妙に色彩を変え、プレースタイルと言われるとして表出するのだ。

 日本代表を率いる森保一監督は、オーストラリア戦で4-3-3に戦術を変更した。しかし、底流にあるプレーコンセプトはそれほど変わっていない。4-2-3-1、あるいは4-4-2で弱くなっていたところを、4-3-3と数字を変えることによって強化したに過ぎないだろう。具体的に言えば、弱体化していた中央の守備に厚みを加え、カウンターをより効率化したのだ。

 選手の中身はほとんど変わっていないし、やっているプレーは大きく変わっていない。失敗ではなかったし、むしろ功を奏したと言えるが、切り札にもならないだろう。

 肝心なのは、数字に囚われないことだ。

文●小宮良之

【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。

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