思い起こされる玉田圭司の"提唱"…森保ジャパンの流れは変わりつつある【コラム】

カテゴリ:日本代表

多田哲平(サッカーダイジェスト)

2021年11月12日

歴戦のストライカーが「本当に素晴らしい」と期待を寄せるのが…

玉田が「最強スタメン」のひとりに挙げた田中碧。オーストラリア戦から2戦連続で先発と存在感を高める。(C)JFA

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 日本代表は11月11日、ワールドカップ・アジア最終予選でベトナム代表と対戦。敵地で1-0の勝利を収めた。

 伊東純也の2点目はオフサイドの判定で取り消され、そのまま最後まで追加点は奪えなかった。内容を見れば、崩しのクオリティやフィニッシュの技術などの課題が山積するものの、最低限のノルマである勝点3を掴んだことは素直に評価すべきだろう。

 森保一監督はこの試合で、前節のオーストラリア戦に続いて4-3-3のシステムを採用。今回のメンバー発表会見で言っていた「流れをできるだけ大事にしていきたい」という意図を表現した格好だ。

 ちょうど、このベトナム戦の当日、日本時間の11時11分に2021年シーズン限りでの現役引退を発表したのは、玉田圭司(現V・ファーレン長崎)だった。23年に渡るプロキャリアの間で、日本代表としては2度のワールドカップ(06年、10年大会)でも活躍したストライカーだ。

 国際Aマッチ72試合・16得点を誇るこの歴戦のFWに、今回の最終予選を前に現代表について訊いたことがある。ずばり「最強スタメン」を挙げてもらったのだ(全文は次ページで公開)。

 その取材のなかで思い起こされるのが、「個人的には攻撃的な4-3-3を見てみたいです」という言葉だ。

「最近のA代表を見ていて感じているのが、攻撃面の課題。ここからもうひとつ上のレベルにいくために、新しいシステムを試してみるのはどうかと」

 玉田のこの“提唱”が届いたわけではないだろうが、森保監督が4-3-3を採用し始めたオーストラリア戦から最終予選では初の連勝。さらに玉田が注目していると言っていた古橋亨梧や伊東純也、田中碧などが図ったかのように活躍している。

 長年日本代表で活躍してきた男の先見の明に驚きつつ、その言葉どおり、システムの変更や、田中という若手の台頭で少しずつ流れが変わっているようにも感じる。
 
 もちろん、攻撃での課題は改善されたわけではなく、さらなる起爆剤が必要なのは確かだろう。つまり、田中に続く新戦力の台頭が望まれる。

 もっとも、毎度お馴染みの固いメンバー選考(起用メンバーは前節のオーストラリア戦と同じ)に批判的な声はある。

 ただ個人的には、ベトナム戦に限って言えば、納得の人選だった。なにせコロナ禍による渡航制限や、チャーター機のアクシデントで、全員揃ってトレーニングできたのは前日のみなのだ。コンディション調整や連係の確認ができない状況では、あらゆるリスクを排除するのは当然だろう。

 いわゆる“チャレンジ”をするなら、このベトナム戦から中4日で迎える、次節のオマーン戦ではないだろうか。準備期間は十分あり、ある程度の連係を築くことは可能だ。調整不足だった初戦で敗れている相手とはいえ、万全のコンディションでがっぷり四つで組めば負ける相手ではないと見る。むしろ分析されていない新戦力の抜擢は、困惑させる一手にもなり得る。

 新戦力の台頭を望むうえで、再び玉田の言葉を引用したい。

「特に三笘選手には期待しています。決定機を増やすことこそが得点力不足の改善につながるわけで、チャンスメイクという点で彼は本当に素晴らしいです」

 今季前半戦までのJリーグを席巻し、ベルギーでもその実力を証明する三笘の突破力は、まさに得点力向上の切り札となり得る。玉田だけでなく、多くのサポーターからも期待が集まっているだろう。流れをさらに引き寄せるために、次戦のオマーン戦で満を持して抜擢してもいいのではないだろうか。

文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)

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