「チャンスの作り方が、あまり上手くない」。エース本田が語った根深き課題とは?

カテゴリ:日本代表

五十嵐創(サッカーダイジェスト)

2015年09月04日

「『行けそうやから行く』っていうマインドだと、まず引っかかる」(本田)

立ち上がりから高速クロスで何度も好機を演出した右SBの酒井宏。ただ、“直球”だけで勝負する工夫のなさは、本田の言う「一点張り」になりがちな部分であり、「ヒネリ」がほしいところだ。 (C)SOCCER DIGEST

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「チャンスの作り方が、あまり上手くないと思うんですよね。決定的にフリーの場面は、前半の(香川)真司くらいかな。もっとああいう形を作れたはずなので、崩しのところがね。もっと相手を左右に揺さぶって、最終的に完全に崩すのも我慢すればやれないチームではないと思っているので。
 
 でも、それは普段やっているサッカーと違う考え方で挑まないとできないんですよ。サッカーをやっている人にしか分からないと思うんですけど、まったく違うマインドなので。『行けそうやから行く』っていうマインドだと、まず引っかかる。それで実際に引っかかったのが、シンガポール戦でしたからね」
 
 このカンボジア戦前まで4戦勝ちなしだったとはいえ、日本は依然としてアジアレベルでは強豪だ。当然、相手は守備を固めてくる。そこに「ヨーロッパでプレーしている選手たちの所属チームは、そんなに攻め込めるチームではない」というメンバーが集まっても、相手を圧倒する立場に上手く適応できないのは理解できなくはない。
 
「結局、点が取りたいというオーラが出た時の日本代表は、特にこういった相手には、(クロスを)上げられる時には上げるとか、行けそうな時に行くっていうのが、一点張りになりつつある。要はいろんなことをやるっていうのが足りないところ。今日は何人かの選手を含めて、その辺の“ヒネリ”やタメや駆け引きはできていたけど、それでも物足りないですね」
 
 カンボジアのような格下が相手でも、一本調子で変化をつけられない。つまり、日本代表が常に得点力不足に悩まされてきたのは、単純にフィニッシュの精度の問題だけではないということだ。サイドチェンジのパス、SBのオーバーラップのタイミング、ボランチの3列目からの飛び出し――。そうしたすべての要素が少しずつ足りないことが積み重なって、ゴール前の精度不足につながっているのだろう。
 
「ヒネリやタメや駆け引き」のレベルアップは、一朝一夕でできるものではない。「なにもかも上手くいくわけがないのは分かっているけど、やっぱり理想は追求していかなきゃいけない」というエースの苦悩は、今後も続きそうだ。
 
取材・文:五十嵐創(サッカーダイジェスト編集部)
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