【EURO 今日は何の日】6月20日「ドイツの悪夢(76・84年)、トルコの奇跡(08年)」

カテゴリ:連載・コラム

サッカーダイジェストWeb編集部

2016年06月20日

初の決勝PK戦で敗北 & 最終節90分での失点で早期敗退…。

土壇場の同点劇で精神的に有利とされるも、初の決勝PK戦でプレッシャーに負けたのは世界王者だった。写真は予選時のもの。 (C) Getty Images

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何度もクロスバーや、ポストに当たるシュートを放った西ドイツ。一方、スペインもPKを止められた。写真左端が決勝ゴールのマセーダ。 (C) Getty Images

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 1976年に行なわれた5回目のEURO。西ドイツ(当時)は優勝候補筆頭だった。前回大会の優勝国であり、2年前には自国開催のワールドカップで2度目の世界制覇を成し遂げていたのだから、それも当然のことである。
 
 ただし、稀代の点取り屋である“爆撃機”ゲルト・ミュラーがサッカー連盟との対立により出場を辞退しており、決定力には不安が囁かれていた。
 
 案の定、その歩みは危なっかしいものだった。準決勝の開催国ユーゴスラビア戦では、2点をリードされる苦しい展開。ここでヒーローとなったのは、この試合が代表デビュー戦となった、途中出場の22歳、ディーター・ミュラーだ。
 
 この“新たなミュラー”はいきなりハットトリックを決め、延長戦での4-2の勝利に大きく貢献した。
 
 6月20日に行なわれた決勝戦の相手は、オランダを撃破したチェコスロバキア。キャプテンの“皇帝”フランツ・ベッケンバウアーが代表100試合目を迎えた西ドイツにとっては思わぬ対峙だが、与しやすい相手だとも思われていた。
 
 しかしここでも、西ドイツは2点を先取される。そしてユーゴ戦同様、追撃の1点を挙げたのはミュラー。同点ゴールはなかなか奪えず、ベルント・ヘルツェンバインがゴールネットを揺すった時、試合開始から90分が経っていた。
 
 その後、延長戦でも試合は動かず、これまでなら再試合となるところを、PK戦が採用される。
 
 ともにゴールを決めていくが、西ドイツ4人目のウリ・ヘーネスの渾身のキックは、クロスバーを高々と越えた。チェコの5人目はアントニン・パネンカ。名GKゼップ・マイヤーの意表を突いたチップキックは、今でも伝説となっている。
 
 初戴冠に沸くチェコの傍らで、連覇を逃した西ドイツはただうなだれるだけだったが、その戦いぶりは国内でも称賛され、サッカー連盟は報酬の倍額支払いを決定したという。
 
 この大会から8年後、フランスでのEURO84でも西ドイツは前回王者として大会に臨んだが、ここでは屈辱にまみれての敗北、早期帰国を余儀なくされた。
 
 ポルトガルに引き分け、ルーマニアには勝った西ドイツは、6月20日、首位でグループステージ最終節を迎えた。相手はスペイン。引き分け以上で勝ち抜けが決まる有利な状況だった。
 
 試合は、ともに得点機を活かせないままスコアレスで終盤を迎え、西ドイツは試合を終わらせにかかったが、90分、スペインは右からのクロスをアントニオ・マセーダが身を投げ出しての渾身のヘッドで押し込み、土壇場でリードを奪った。
 
 反撃のための時間はほとんどなく、前回王者は悪夢の結末でグループステージ敗退。これでユップ・デアバル政権は幕を閉じ、ベッケンバウアーが新たな指揮官に迎えられることとなった。
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