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脳裏に焼き付いていた神懸った“最後のディエゴ”――アルゼンチン在住記者が語るマラドーナ【現地発】

カテゴリ:ワールド

チヅル・デ・ガルシア

2020年12月07日

誰しもに焼き付いている「マラドーナのイメージ」

ヒムナシアに就任した際に、涙を堪えながらスタンドに挨拶をするマラドーナ (C) Getty Images

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 ディエゴ・マラドーナが亡くなってから、ちょうど10日。1週間前まではアルゼンチンにおける国喪が続き、私の心の中にも突然の訃報にショックを受けたときのおぞましい感覚が残っていたが、今は少し落ち着いたような気がしている。

 ほんの少し前までは、ディエゴのプレー集を見るだけで涙が止め処なく流れ出て、少し悲しい旋律の音楽を聴くだけで、喉の奥の方がキュっと痛くなる感覚を覚えて苦しかった。彼が亡くなったこと自体はもちろん、ディエゴに感化されてアルゼンチンで暮らすことを決めた私としては、自分の人生を変えたとてつもなく大きな存在がこの世から去ったことに耐え難い喪失感を抱いてしまった。

 これまで、身内以外の人間の逝去には一度も覚えたことのなかったこの不思議な感覚は、きっと世界中の多くのサッカー愛好家が感じたことだろう。ディエゴのプレーをリアルタイムで観た人たちならば、なおさらだ。

 そんな人たちなら誰にでも、自分の脳裏に強く焼き付けられている「マラドーナ」のイメージがあると思う。そしておそらく大半の人が「スーパープレーを披露するマラドーナ」や「栄光に輝くマラドーナ」の姿を思い起こすだろう。私も自分のコラムのためにどれか1つ写真を選ぶように言われれば、迷わず「86年のメキシコ・ワールドカップで優勝トロフィーにキスをする瞬間のマラドーナ」を選ぶところだ。
 
 しかし、彼が亡くなったと知った時、私の頭の中に真っ先に思い浮かんだのは、昨年9月の様子だった。ディエゴがヒムナシアの監督に就任した時である。

 2019年9月8日、私はヒムナシアの監督としてのディエゴのお披露目となった公開練習を見るべく、ラプラタ市にある同クラブのスタジアムに足を運んだ。老朽化したスタジアムは超満員に膨れ上がり、中に入れない人が周辺に溢れ、試合日を上回る大変な賑わい様だった。

 そして、朝からずっと曇り空だったのが、ディエゴが登場する前に雲の隙間から「天使の梯子」が現れ、やがて晴れ上がったのには驚いた。隣にいたキューバ人の記者は「天気まで変えるとはさすがマラドーナ」と唸っていたが、確かにあの時、あの場所に、神懸り的な力が働いていたように感じたものだ。
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