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脳裏に焼き付いていた神懸った“最後のディエゴ”――アルゼンチン在住記者が語るマラドーナ【現地発】

カテゴリ:ワールド

チヅル・デ・ガルシア

2020年12月07日

あまりに強烈だったディエゴの最後

マラドーナの死後、アルゼンチンでは至る所で英雄へのオマージュが見られた。 (C) Getty Images

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 そんなまさに晴れ舞台に登場したディエゴは、大声援と拍手喝采に感激して涙を堪えきれず、泣きたいのを我慢しているような表情のままゆっくり歩きながら、まるでそこに集まったひとりひとりの顔を確認するかのようにスタンドの隅々まで凝視(私の顔も見てくれたような気がする)しては、四方八方に手を振り、投げキッスをし、時折、拳で左胸をとんとんと叩いて感謝の意と愛情を表現してみせた。

 その間、私の周りにいたサポーターたちは皆泣きながら、「うちに来てくれてありがとう!」と叫び、スタジアム内では「マラドー!マラドー!」というお馴染みのコールが止まず、応援歌もずっと響き渡ったままだ。

 先述のキューバ人記者は、「マラドーナの人気は未だに根強いと聞いていたけれど、まさかここまで反響があるなんて」と呆気にとられていたが、元来、ディエゴの存在を「人気者」などという軽い言葉で片付けてはいけないし、そのような見方をしてもいけない。ディエゴは、アルゼンチンのサッカー愛好家たちにとって「神」なのだ。
 
 結局、あの日のディエゴは、私がこの目で見た中で「最後のディエゴ」となってしまった。人々の熱狂とディエゴの涙があまりにも強烈だったためか、1年以上も前のこととは思えない。実際、私のスマートフォンのアルバムには、あの日、スタンドから撮影した動画が残されたままだ。

 あれからディエゴは、ヒムナシアの監督としてアウェーゲームのため各地のスタジアムに出向き、行く先々で同様の歓迎を受けていた。天に召される前にアルゼンチン国内を回り、人々から直接、大声援を受けることができた幸運も、もしかしたら「神」が作り出したものだったのかもしれない。

文●チヅル・デ・ガルシア text by Chizuru de GARCIA
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