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C・ロナウド、ブロゾヴィッチ、フィルミーノ、マフレズらとの対戦を経て得たモノ。川崎の脇坂泰斗が感じたACLEを日本クラブが勝ち上がるためのヒント

カテゴリ:Jリーグ

本田健介(サッカーダイジェスト)

2025年08月03日

自らのゴールで新たな歴史を作る

雄叫びを上げる脇坂。多くの勝利を届けた。(C)J.LEAGUE

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 川崎のACLE準優勝の裏にはどんなドラマがあったのか。先日幕を閉じたクラブワールドカップに通じる第1回大会のACLEを戦い抜いた川崎の奮闘ぶりに改めて迫る、キャプテンの脇坂泰斗のインタビューシリーズだ。

(第3回/全3回)

――◆――◆――
 
 ラウンド16突破を果たし、いよいよサウジアラビアで集中開催される準々決勝以降のトーナメント戦へ臨む川崎だったが、リーグでの7連戦が待っていた。

「ACLエリートで優勝したく、開幕した時からそこに標準合わせてきました。振り返るとあっという間でしたね。ACLを戦っていたら、もうリーグ戦も半分終わったという形でした。まさに駆け抜けた印象で、もうずっと試合をしていた感覚です」

 この過密日程こそがリーグとACLを戦い抜くうえでひとつの大きな壁になるが、準々決勝以降の抽選会でも物議をかもすシーンもあった。急遽“シード権”が取り入れられたり、試合間隔がチームによって異なったり、そもそもサウジアラビアのチームにとっては自国で準々決勝から決勝を戦えるメリットがあるなど、西地区の中東勢が有利にも見えるレギュレーションが設定されていた。

 それでも東地区の代表として、脇坂を筆頭に川崎の選手たちは落ち着いていた。

「こう言うとあれですが、僕らより周りの人たちが騒いでくれていた分、僕らは冷静でした。もう決まったもので変えられないなら、言っても仕方がないと分かっていました。実際には言い訳を探せばいくらでもありますよ。準々決勝から決勝まですべて中2日だとか、その前にリーグで7連戦しているとか、大会に来るまでに長距離移動を強いられているとか。でもそれを言っても始まらない。

 僕らは挑戦者として正直失うものがなかったですし、西のチームは僕らに対して勝って当たり前だと思っていたはず。だから僕らはそうした意見を見返すだけだと思っていました。練習場ではスタジアムの大きな歓声が聞こえるんですよ。その声を『俺らが黙らせようぜ』と。不安ではなかったですね。やってやろうぜ、と」

 Jリーグが用意してくれたチャーター機に乗り、サウジアラビア入りした川崎の準々決勝の相手はカタールのアル・サッドだった。川崎は相手のキーマンであるカタール代表MFアクラム・アフィフ封じを何よりのミッションとして臨んだ。

準々決勝では魂の決勝弾をマーク。(C)J.LEAGUE

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キャプテンとして公式会見などにも臨んだ。(C)KAWASAKI FRONTALE

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「ミーティングで西のチームをチェックすると、個の力は凄いけど、組織としては付け入る隙がありそうだった。正直言うと、(準決勝で対戦した)クリスティアーノ・ロナウドらを擁していたアル・ナスルより、組織力という点では(準々決勝の相手の)アル・サッドのほうがちょっと嫌でしたね。

 それにスカウティングで見た(アル・サッドの)アフィフの映像がもう上手すぎて。でも逆にチーム全体がアフィフに合わせようとしていて、アフィフ経由の攻撃だからだから、そこを協力して、抑えようという考えでした」

 試合は川崎が2度先手を取るも追いつかれる展開で2-2のまま延長戦へ。

「アフィフはめちゃくちゃイライラしていた印象だったので、相当僕らの守備で体力を削られたんだろうな、と感じていました。それと相手の4番(ボランチのモハメド・カマラ)を僕と(CFの)エリソンで消しながら、うちのボランチとも協力し、アフィフが(右SBの佐々木)旭のほうに流れてくるから、そこをボランチの(河原)創にもケアしてもらった。そしてボールを奪ったあとは、うちのウイングが相当空くというスカウティングで、アキさん(家長昭博)とマルシーニョに準備してもらっておき、先制点もまさにその形から生まれました。今季はこうした相手の弱点を突くなど分析も上手くいっていますね」

 それでも気温の高いサウジアラビアで守備にも走った脇坂は満身創痍だった。

「(2-2で)90分が終わった段階で足をつりかけいて、シゲさん(長谷部監督)にも伝えていました。でも、『まずは延長戦の半分だけでも出ます』と。結果的に半分持たなかったんですけどね」

 それでもクラブが成し遂げられずにいたアジアでのベスト4入りを果たすためにも、ベンチに下がるわけにはいかない。キャプテンとして、伝統の14番を継ぐものとして脇坂は身体に鞭を打ちながらピッチへ向かった。そんな男の覚悟が報われる。98分、CF山田新が相手ゴール近くでDFのミスを見逃さずにクロス。待っていたのは脇坂だった。

 多くの選手が海外移籍を選択し羽ばたいていったなかで、クラブを支え続けた男のゴールで新たな扉を開いたのはなんとも感慨深かった。
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