「味方のお粗末な対応を助けようとしたら…」
――シュツットガルトでは3シーズン半。決して短い期間ではありません。
酒井「楽しい3年半でしたよ。チームの犠牲になった方がいいのか、自分を出した方がいいのか。その行ったり来たりでしたね。いま思うのはチームのために犠牲にならないと、俺は活躍できなかった。
ボランチのケア、サイドハーフのケア、センターバックのケア、キャプテンが喋らないぶん、俺が味方を鼓舞したり。そういうことをしないと、自分を活かせなかったんです。
逆に誰かが助けてくれることはなくて。(今シーズンの25節)レバークーゼン戦でベララビに1対1でやられた時も声をかけてくれる選手はいなくて、自分はひとりなんだと痛感しました」
――レバークーゼン戦の失点の責任をすべて酒井選手に押し付けるのは、さすがにアンフェアでしょう。
酒井「チャルハノールがベララビにパスを出すモーションに入って、一歩でも遅れたらやられると思った俺は、ボールを見ないでターンして戻りました。それを咎められましたね。
でも、オープンなスペースにパスを出された根本的な問題があります。それを抗議しているジェスチャーが、チームメイトや監督の目には悪く映ったのかなと。
もちろん、プロ選手であるかぎり、言い訳はしたくありません。ベララビとの距離をもう少し詰めていれば、やられていなかったはずですし」
――利他的なメンタリティを持つ酒井選手は、シュツットガルトにとって貴重な存在です。そのあたりを評価してもらえないのは厳しいですね。
酒井「覚悟はしていたんですよ。そうなるのが分かっていて自己犠牲もしたし、そうなりたくないと思った時は自分のやりたいことをしました。
でも、攻撃しようと前に上がったら、なぜ前に行くんだと。後ろにいるならいるで、みんなのためにいろいろカバーしようと心掛けていました。例えば、味方のお粗末な対応を助けようとしたら、なぜカバーに行くんだって言われてしまって。
それを3人とか4人がするチームじゃないと、フォローした選手に責任が押し付けられるわけですよ。以前はちょっと違って、もう少し一体感があった。でも、いまは一人ひとりがバラバラにプレーしていて……」
河岸「今シーズンの苦戦はグルーブ感の欠如があったから。個人的にはそう思っているよ。カカウ(現セレッソ大阪、元シュツットガルト)も言っていた。日本人のお互いを助け合う姿勢は、ドイツ人にも必要じゃないかって。もちろん、良いチームの選手はやっていると思うけど」
酒井「ただ、俺が選手であるかぎり、何かのせいにしたくない。ここにいたら、チームのせいにしちゃうと思うんで。いい区切りかなと」
河岸「この3年半、良い時期もあったしね」
酒井「そうそう。やっぱり楽しかったし、ここでドイツ・サッカーのなんたるかを教わった。試合に出られなかったら、いまどこにいるか分からなかったですよ」
≪了≫
インタビュー:遠藤孝輔
協力:河岸貴(シュツットガルト国際部門)
酒井「楽しい3年半でしたよ。チームの犠牲になった方がいいのか、自分を出した方がいいのか。その行ったり来たりでしたね。いま思うのはチームのために犠牲にならないと、俺は活躍できなかった。
ボランチのケア、サイドハーフのケア、センターバックのケア、キャプテンが喋らないぶん、俺が味方を鼓舞したり。そういうことをしないと、自分を活かせなかったんです。
逆に誰かが助けてくれることはなくて。(今シーズンの25節)レバークーゼン戦でベララビに1対1でやられた時も声をかけてくれる選手はいなくて、自分はひとりなんだと痛感しました」
――レバークーゼン戦の失点の責任をすべて酒井選手に押し付けるのは、さすがにアンフェアでしょう。
酒井「チャルハノールがベララビにパスを出すモーションに入って、一歩でも遅れたらやられると思った俺は、ボールを見ないでターンして戻りました。それを咎められましたね。
でも、オープンなスペースにパスを出された根本的な問題があります。それを抗議しているジェスチャーが、チームメイトや監督の目には悪く映ったのかなと。
もちろん、プロ選手であるかぎり、言い訳はしたくありません。ベララビとの距離をもう少し詰めていれば、やられていなかったはずですし」
――利他的なメンタリティを持つ酒井選手は、シュツットガルトにとって貴重な存在です。そのあたりを評価してもらえないのは厳しいですね。
酒井「覚悟はしていたんですよ。そうなるのが分かっていて自己犠牲もしたし、そうなりたくないと思った時は自分のやりたいことをしました。
でも、攻撃しようと前に上がったら、なぜ前に行くんだと。後ろにいるならいるで、みんなのためにいろいろカバーしようと心掛けていました。例えば、味方のお粗末な対応を助けようとしたら、なぜカバーに行くんだって言われてしまって。
それを3人とか4人がするチームじゃないと、フォローした選手に責任が押し付けられるわけですよ。以前はちょっと違って、もう少し一体感があった。でも、いまは一人ひとりがバラバラにプレーしていて……」
河岸「今シーズンの苦戦はグルーブ感の欠如があったから。個人的にはそう思っているよ。カカウ(現セレッソ大阪、元シュツットガルト)も言っていた。日本人のお互いを助け合う姿勢は、ドイツ人にも必要じゃないかって。もちろん、良いチームの選手はやっていると思うけど」
酒井「ただ、俺が選手であるかぎり、何かのせいにしたくない。ここにいたら、チームのせいにしちゃうと思うんで。いい区切りかなと」
河岸「この3年半、良い時期もあったしね」
酒井「そうそう。やっぱり楽しかったし、ここでドイツ・サッカーのなんたるかを教わった。試合に出られなかったら、いまどこにいるか分からなかったですよ」
≪了≫
インタビュー:遠藤孝輔
協力:河岸貴(シュツットガルト国際部門)