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ルヴァン杯ファイナル『名古屋対C大阪』をプロ分析官が徹底展望! 両チームの戦術を細部にわたり深掘り!

カテゴリ:Jリーグ

サッカーダイジェストWeb編集部

2021年10月30日

C大阪の敵陣での攻撃vs名古屋の自陣での守備

C大阪が敵陣でボールを保持している際のマッチアップ図。

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 この局面でC大阪の注目選手は乾貴士です。左サイドだけではなく、右サイドに回ってクロスを上げることもありますし、真ん中に入ってスルーパスを通すこともありますし、外に張って縦にドリブルすることもできます。本当に何でもできる選手です。

 C大阪は乾がいる左サイドに人数をかけて崩しにかかることが多いですが、逆サイドの1対1に強い坂元達裕へ向けてロングボールでサイドチェンジをして、坂元の得意な形に持ち込むことも狙うでしょう。

 あるいは、相手のCBに対して機動力のある加藤や山田がかき回しながら中央を仕掛ける。それに対して、準決勝で見せたような丸橋祐介あたりからのアーリークロスで瞬発力を生かせれば、ふたたびチャンスを作り出せそうです。

 また名古屋は試合中によくシステムを変えるチームで、前回対戦でも乾らが相手のシステム変更に合わせて、ポジショニングを少し変えていました。相手の形を見ながら、自分たちも立ち位置や攻撃の狙いを柔軟に変えていけるかどうかがカギになります。

 それに対して名古屋は、図の矢印のようにマンツーマン守備で対応することもありますし、もちろん状況に応じて、マークを受け渡すこともあります。ただ、サイドハーフとサイドバックがどの選手についていくのかを統一していなければ、迷いから判断が遅れ、相手に自由を与えてしまうので、マンツーマンで守るのか、マークを受け渡すのかといった判断を共有する必要があります。

 相手のボランチがサイドのスペースにスライドしてボールを受けに行ったとき、誰もついていかず、そこを起点にスルーパスを通されてしまう可能性もあります。この場合は、名古屋のダブルボランチが横にスライドして、相手のボランチについていくなど、ボールホルダーに対してしっかりと圧力をかけなければいけません。

 また相手の2トップが引いてボールを受けたときには、CBが縦にスライドしなければいけません。このCBとダブルボランチが、いかに守備で縦と横のスライドを素早くできるかが、名古屋が失点しないためのポイントとなります。

 名古屋は4試合連続でCKから失点しているように、CKの守備は課題です。CKをゼロにする努力も必要になりそうです。

 私も横浜でアナリストを務めていた際、2018年にルヴァン杯・決勝を経験しました。経験者として言えるのは、決勝という舞台は選手たちに計り知れないプレッシャーが掛かるということです。

 そのうえで、試合の最初の10分の奮い立った状態での選手たちのファーストコントロールはうまくいくのか、また一方で、最後の10分はパワープレーも出てくるでしょう。冷静になって両チームの戦術が見えてくるのは、その間の70分間です。チームの戦略に加え、そういった選手の感情や人間性も感じながら試合を見てみても面白いのではないでしょうか。
 
【著者プロフィール】
杉崎健(すぎざき・けん)/1983年6月9日、東京都生まれ。Jリーグの各クラブで分析を担当。2017年から2020年までは、横浜F・マリノスで、アンジェ・ポステコグルー監督の右腕として、チームや対戦相手を分析するアナリストを務め、2019年にクラブの15年ぶりとなるJ1リーグ制覇にも大きく貢献。現在は「日本代表のW杯優勝をサポートする」という目標を定め、プロのサッカーアナリストとして活躍している。Twitterやオンラインサロンなどでも活動中。

◇主な来歴
ヴィッセル神戸:分析担当(2014~15年)
ベガルタ仙台:分析担当(2016年)
横浜F・マリノス:アナリスト(2017年~20年)

◇主な実績
2017年:天皇杯・準優勝 
2018年:ルヴァンカップ・準優勝 
2019年:J1リーグ優勝

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