【現地発】マスコミも批判を休止? イタリアが「らしくない挙国一致」でW杯を目指す

カテゴリ:ワールド

片野道郎

2017年10月13日

影響力の強いジャーナリストが「休戦」を呼びかける。

ディ・ビアージョやアンチェロッティが後任候補に挙がるなど、ヴェントゥーラは追い込まれつつある。写真:Alberto LINGRIA

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 状況の深刻さを浮き彫りにしたのは、有料衛星放送局『スカイ・イタリア』のイタリア代表戦実況ジャーナリストで、マスコミでも最もポピュラーで影響力の強いひとりであるファビオ・カレッサが、同局のスポーツニュース『スカイスポルト24』でマスコミと国民に「休戦」を呼びかけたことだった。
 
「今は結束の時だ。ワールドカップ出場を決めるまでは皆がひとつにならなければ。いまヴェントゥーラを批判するのは簡単だが、それが建設的なことだとは思わない。ワールドカップに行けなかったら誰にとっても大きな悲劇だ。プレーオフまでは休戦することを提案したい。今はイタリア・サッカーにとって困難な時だ。必要なのは団結だ。今からプレーオフまではヴェントゥーラを信頼し、リスペクトしよう。まずワールドカップ行きを決めて、残りはそれからの話だ」
 
 イタリアのマスコミはこれまでほぼ常に、アッズーリに対して容赦なく批判を浴びせてきた。手放しで賞賛するのはそれこそワールドカップで優勝した時だけ、と言ってもいいくらいだ。しかしそれも、イタリア・サッカー、イタリア代表にはそれだけの力があるのだから勝たなければならない、という自信(時には傲り)がそのベースにあったからこそ。しかし今やイタリア・サッカー界全体、そしてマスコミまでがそれを失っているというのが現実である。
 
 プレーオフのドローが決まるのは10月17日。一応シード権を手に入れたイタリアの対戦相手はスウェーデン、アイルランド、北アイルランド、ギリシャのいずれかである。「代表を叩くのは止めよう。今はともかく挙国一致でワールドカップへの切符を勝ち取ろう」という、まったく「らしくない」文字通りの挙国一致体制で、イタリアはロシアを目指す。
 
文:片野道郎
 
【著者プロフィール】
1962年生まれ、宮城県仙台市出身。1995年からイタリア北部のアレッサンドリアに在住し、翻訳家兼ジャーナリストとして精力的に活動中だ。カルチョを文化として捉え、その営みを巡ってのフィールドワークを継続発展させている。『ワールドサッカーダイジェスト』誌では現役監督とのコラボレーションによる戦術解説や選手分析が好評を博す。ジョバンニ・ビオ氏との共著『元ACミラン専門コーチのセットプレー最先端理論』が2017年2月に刊行された。
 
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