多くの若手を起用して新陳代謝を図る。
また朝・昼・夕の食事をできるだけチーム全体でとるようにしたのも、ペップが導入したルールのひとつだ。テーブルを囲み、チーム力向上のためのコミュニケーションを図るのが目的だ。
「互いをよく知るためには、一緒に生活しなければならない。食事を一緒にして、選手同士、あるいは私やコーチを交えて会話をするんだ。本当のチームになるには必要なことだ」(ペップ)
夏にシャルケから加入したレロイ・ザネは、そんなペップのマンマネジメント・スキルを称賛する。
「監督はトレーニングでもそれ以外でも個々の状況を観察して、選手一人ひとりを分析している。そして、局面ごとのプレーや能力的な部分など色々な話をしてくれる。改善すべきところを見つけて、向上させてくれるんだ」
同じく夏にエバートンから移籍してきたジョン・ストーンズも、すっかりペップ信奉者となっている。
「練習初日から、目から鱗が落ちたようだった。トレーニングと実戦で色々なことを学んでいる。監督は対戦相手のことを分析し、僕らがどうプレーすべきかも教えてくれる」
そんなペップとシティが目指す最終的な着地点は、バルサが勝ち取った栄光。つまり自前選手をベースとしたチームを作り、欧州の真のトップクラブに君臨することだ。
入団会見の際に語った「若い選手と仕事をするのが大好きだ」という言葉通り、ペップは過去2人の監督よりも若手起用に積極的だ。DFのトシン・アダラビオヨやアンヘリーノ、パブロ・マフェオ、MFのアレイシ・ガルシアなど将来を嘱望される下部組織の選手たちが、国内カップ戦を中心に出番を与えられている。
「チキ(ベギリスタイン=フットボールディレクター)から話を聞いていたから、シティがすでに優秀な選手を育てていることは分かっていた。ウチのアカデミーは、毎シーズンのようにユースの大会で優勝争いをしている。セカンドチーム(U-23)の選手たちも9~10人ほど見ているけど、クオリティーの高さに驚いている」(ペップ)
ペップ招聘以前からシティはアカデミーで攻撃的なパスサッカーを志向。今後はバルサ同様に、トップチームと同じ戦術(システムが4-3-3、4-2-3-1、3-4-3のどれになるかは分からないが)を導入し、クラブ全体で熟成を図っていくだろう。
ペップの代名詞であるハイラインプレスと素早いボール回しによるモダンフットボールを下部組織からトップチームまで一貫して浸透させ、ピッチ外でもクラブを包括的に進化させて正真正銘のビッグクラブに成長させる――。そんな野心を抱くペップとシティの新
たなプロジェクトは、まだ始まったばかりである。
文:松澤浩三
協力:マンチェスター・シティ
※『ワールドサッカーダイジェスト』2017年1月19日号より転載
「互いをよく知るためには、一緒に生活しなければならない。食事を一緒にして、選手同士、あるいは私やコーチを交えて会話をするんだ。本当のチームになるには必要なことだ」(ペップ)
夏にシャルケから加入したレロイ・ザネは、そんなペップのマンマネジメント・スキルを称賛する。
「監督はトレーニングでもそれ以外でも個々の状況を観察して、選手一人ひとりを分析している。そして、局面ごとのプレーや能力的な部分など色々な話をしてくれる。改善すべきところを見つけて、向上させてくれるんだ」
同じく夏にエバートンから移籍してきたジョン・ストーンズも、すっかりペップ信奉者となっている。
「練習初日から、目から鱗が落ちたようだった。トレーニングと実戦で色々なことを学んでいる。監督は対戦相手のことを分析し、僕らがどうプレーすべきかも教えてくれる」
そんなペップとシティが目指す最終的な着地点は、バルサが勝ち取った栄光。つまり自前選手をベースとしたチームを作り、欧州の真のトップクラブに君臨することだ。
入団会見の際に語った「若い選手と仕事をするのが大好きだ」という言葉通り、ペップは過去2人の監督よりも若手起用に積極的だ。DFのトシン・アダラビオヨやアンヘリーノ、パブロ・マフェオ、MFのアレイシ・ガルシアなど将来を嘱望される下部組織の選手たちが、国内カップ戦を中心に出番を与えられている。
「チキ(ベギリスタイン=フットボールディレクター)から話を聞いていたから、シティがすでに優秀な選手を育てていることは分かっていた。ウチのアカデミーは、毎シーズンのようにユースの大会で優勝争いをしている。セカンドチーム(U-23)の選手たちも9~10人ほど見ているけど、クオリティーの高さに驚いている」(ペップ)
ペップ招聘以前からシティはアカデミーで攻撃的なパスサッカーを志向。今後はバルサ同様に、トップチームと同じ戦術(システムが4-3-3、4-2-3-1、3-4-3のどれになるかは分からないが)を導入し、クラブ全体で熟成を図っていくだろう。
ペップの代名詞であるハイラインプレスと素早いボール回しによるモダンフットボールを下部組織からトップチームまで一貫して浸透させ、ピッチ外でもクラブを包括的に進化させて正真正銘のビッグクラブに成長させる――。そんな野心を抱くペップとシティの新
たなプロジェクトは、まだ始まったばかりである。
文:松澤浩三
協力:マンチェスター・シティ
※『ワールドサッカーダイジェスト』2017年1月19日号より転載