■失点の引き金は僕の判断ミス
　まさか、残り８分間で３ゴールを奪われるなんて、まったく想像できませんでした。衝撃的すぎる結末だったからこそ“カイザースラウテルンの悲劇”という言葉が生まれたのでしょう。失点の引き金となったのは、僕の判断ミスによるものでした。
 
　ロングスローへの飛び出しでボールに触れることができなくて、その流れで同点ゴールを与えてしまいました。あの時の自分の判断が失点につながって、残り８分間での３失点という結果を生んでしまったのです。本当に悔やまれて仕方がありません。
 
　ワールドカップの舞台では、初戦に勝つか負けるかで運命を大きく左右してしまう。その大事な一戦の、最後の最後で重大なミスを犯してしまいました。
 
　自分のせいで負けた――。その現実を受け入れたくない自分がいたことも事実ですが、自分のミスを認める勇気を持てるまで、本当に時間がかかりました。しかしワールドカップの歴史を重ねていくなかで、ようやく自分の口でそのことを言えるようになったのです。
 
“カイザースラウテルンの悲劇”と言われたオーストラリア戦。もうあんな苦い敗戦は味わいたくありませんし、これからもあのような惨劇を見たくありません。ぜひいまの日本代表には、こうした過去の教訓を生かして、アジア最終予選、そしてロシア・ワールドカップ本大会で活躍してもらいたいです。
 
■参考資料
ドイツ・ワールドカップ　グループリーグ第１戦
2006年６月12日15:00＠ドイツ・カイザースラウテルン
日本 １-３ オーストラリア
[得点]日＝中村(26分)　オ＝ケイヒル（84分・89分）、アロイージ（89分）
[警告] 日＝宮本(31分)、高原（40分）、茂庭（68分）　オ＝グレッラ（33分）、ムーア（58分）、ケイヒル（69分）、アロイージ（78分）
[日本]
スターティングメンバー●GK23川口能活、DF５宮本恒靖、19坪井慶介（→56分２茂庭照幸→89分16大黒将志）、22中澤佑二、MF７中田英寿、10中村俊輔、14三都主アレサンドロ、15福西崇史、３駒野友一、FW高原直泰、13柳沢敦（→79分18小野伸二）
サブメンバー●GK１楢崎正剛、12土肥洋一、DF６中田浩二、MF４遠藤保仁、８小笠原満男、17稲本潤一、21加地亮、FW11巻誠一郎、20玉田圭司
監督●ジーコ
 
■プロフィール
川口能活（かわぐち・よしかつ）／1975年８月15日生まれ、静岡県出身。180センチ・77キロ。清水商高卒業後、横浜入り。その後、ポーツマス（イングランド）、ノアシャラン（デンマーク）、磐田、岐阜を経て、現在J３の相模原でプレー。４度のワールドカップ出場を誇る日本を代表するレジェンド。プロ23年目。
☆SC相模原オフィシャルHPはこちら
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