【川口能活クロニクル】自分のせいで負けた… 人生最悪の試合はドイツW杯のあの惨劇

カテゴリ:連載・コラム

サッカーダイジェストWeb編集部

2016年11月25日

ドイツ戦を徹底的に研究されて中盤から前線へのパスが通らない。

初戦のオーストラリア戦で日本は幸先よく先制したものの、中盤の中田英、中村から前線へのパスを寸断され、リズムを掴めない。大会前のドイツ戦を徹底的に研究されていた。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

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■ヒディンク監督に丸裸にされる
 決戦の6月12日は、晴天に恵まれました。太陽の光がスタジアムの照明器具に反射して、僕が守っていた場所がとくに眩しく感じました。芝生の照り返しもひどく、とにかく蒸し暑かったことを覚えています。
 
 前半にラッキーな形で(中村)俊輔のゴールで先制したのですが、その後はずっと劣勢を強いられました。体力の消耗が激しく、最後はお互いがカウンターを打ち合うゲーム展開に。そこでジーコ監督が(小野)伸二を入れてきたのは、中盤が間延びしていたところを修正したかったのでしょう。
 
 オーストラリアのパワープレーに耐え続けてきた日本。ギリギリの状態で食い止めていたのですが、同点ゴールを奪われたのをきっかけに、ズルズルと失点を重ねることに。もはやオーストラリアの圧力を受け止めるだけの体力と気力は残されていませんでした。そして、最後の8分間で3失点を喫してまったのです。
 
 後から聞いた話なのですが、ヒディンク監督は1週間前のドイツ戦を徹底的に研究していたそうです。実際、試合が始まると、いつもどおりのサッカーをやらせてもらえませんでした。ボールは保持できるのですが、俊輔とヒデからのスルーパスを警戒され、2トップのヤナギ(柳沢敦)とタカ(高原直泰)にボールが渡らず、ほとんど決定機を作れなかったのです。
 
 オーストラリアの圧力をあれほど感じたのも、チャンスをなかなか作れなかったのも、すべてはヒディンク監督の戦略によるものだったのでしょう。
 
 2週間前のドイツ戦は、自分たちがやれることをやれていました。それはドイツが日本を分析・研究してこなかったことも影響していました。だから、僕たちはいつも通りのサッカーができていました。
 
 しかし、オーストラリア戦では、日本らしいサッカーは影を潜めてしまいました。ヒディンク監督が分析してきた結果、日本の長所である小気味良い攻撃を消し去り、パワープレーを得意とするケイヒル、ケネディ、アロイージを終盤に送り込み、日本の短所である空中戦の弱さを突いてきたのでした。
 
 2週間前、ドイツ戦で素晴らしいパフォーマンスを見せたことが、皮肉なことに、ヒディング監督に日本の“情報”をすべてさらけ出す結果となって、オーストラリア戦でまんまと丸裸にされたのでした。
 
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