大会直前のマルタ戦後、ジーコは僕たちに罵声を浴びせた。

ドイツW杯本大会直前に行なわれたドイツ戦で日本は高原の2ゴールなどで2-2のドロー劇を演じる。コンディションのピークが大会前に来てしまったと川口は振り返る。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)
■ドイツ戦で自信が過信に変わった
優勝候補の一角に挙げられていたドイツとのテストマッチ。そこで見せた日本のパフォーマンスは、間違いなくコンフェデレーションズカップ以上の出来だったと思います。パスワークとカウンターを効果的に使い分けながら、タカ(高原直泰)が2ゴールを叩き込み、周囲の予想に反して、2対2のドローゲームを演じたのです。
テストマッチとはいえ、僕たちもまさかドイツ相手にここまでやれるとは思っていませんでした。あとから聞いた話ですが、ジーコ監督が思い描いていたシナリオとしてもまったく違っていたようです。本来ならば、ドイツに負けてチームに危機感を与えたあと、次のマルタとのテストマッチで課題を修正して、緊張感をもって本番を迎えようと考えていました。
ところが、ドイツ戦はジーコ監督の思惑とはまったく逆の展開になってしまった。コンディショニングのピークが、本番ではなくドイツ戦に合ってしまったのです。素晴らしいパフォーマンスを演じて不安になるのもおかしな話ですが、この時はまさにそのような精神状況でした。僕たちのなかで自信が過信に変わってしまったのではないかと思います。
ドイツ戦でベストゲームに近いパフォーマンスを見せた一方で、マルタには1対0で勝利したものの、本当に覇気が感じられない内容でした。
試合後、ジーコ監督が僕たちに罵声を浴びせ、ミーティングルームは静まり返りました。彼が大声を張り上げて怒る姿を、僕はこの日初めて見ました。百戦錬磨の選手だったからこそ、なにかを感じ取っていたのでしょう。このままでは本大会で結果を残せないのではないかと……。
さらに悪いことは重なって、FWのタカが怪我で離脱していたことも指揮官の頭を悩ませていました。あらゆる不安を消し去ることができないまま、オーストラリアとの初戦を迎えたのでした。
優勝候補の一角に挙げられていたドイツとのテストマッチ。そこで見せた日本のパフォーマンスは、間違いなくコンフェデレーションズカップ以上の出来だったと思います。パスワークとカウンターを効果的に使い分けながら、タカ(高原直泰)が2ゴールを叩き込み、周囲の予想に反して、2対2のドローゲームを演じたのです。
テストマッチとはいえ、僕たちもまさかドイツ相手にここまでやれるとは思っていませんでした。あとから聞いた話ですが、ジーコ監督が思い描いていたシナリオとしてもまったく違っていたようです。本来ならば、ドイツに負けてチームに危機感を与えたあと、次のマルタとのテストマッチで課題を修正して、緊張感をもって本番を迎えようと考えていました。
ところが、ドイツ戦はジーコ監督の思惑とはまったく逆の展開になってしまった。コンディショニングのピークが、本番ではなくドイツ戦に合ってしまったのです。素晴らしいパフォーマンスを演じて不安になるのもおかしな話ですが、この時はまさにそのような精神状況でした。僕たちのなかで自信が過信に変わってしまったのではないかと思います。
ドイツ戦でベストゲームに近いパフォーマンスを見せた一方で、マルタには1対0で勝利したものの、本当に覇気が感じられない内容でした。
試合後、ジーコ監督が僕たちに罵声を浴びせ、ミーティングルームは静まり返りました。彼が大声を張り上げて怒る姿を、僕はこの日初めて見ました。百戦錬磨の選手だったからこそ、なにかを感じ取っていたのでしょう。このままでは本大会で結果を残せないのではないかと……。
さらに悪いことは重なって、FWのタカが怪我で離脱していたことも指揮官の頭を悩ませていました。あらゆる不安を消し去ることができないまま、オーストラリアとの初戦を迎えたのでした。