宮城、マルシーニョ、旗手、橘田…若手選手の力量を見極め、ここ一番で積極的に起用
ちなみに鬼木監督が言うところのメンタリティは、いわゆる“昭和の”精神論とは一線を画すものだ。すなわち、実力が伴わない状態を精神でカバーするという前時代的発想の精神論ではなく、実力を兼ね備えた選手たちに、その能力を発揮させるような精神的タフさを求めるものだ。ケガや病気を気合いで治すといった類の精神論ではないことは言うまでもない。
いずれにしても鬼木監督のマネジメント力が発揮された結果、選手たちは苦境に飲み込まれず、それをバネに結果を残し続けた。残念ながらACL蔚山戦はPK戦の末に落とし、今季2つ目のタイトルを逃がす結果となったが、帰国後の隔離期間を含めた5連戦を5連勝した勝負強さは見事。振り返ると、敗戦した福岡戦をボトムとする厳しさを乗り越えたチームの力強さが結果につながったものと考える。
そして鬼木監督のチームマネジメント力のもうひとつの側面が観察力であろう。若手選手の力量を見極め、ここ一番で積極的に起用。また複数ポジションの適性を見抜き、それができる選手を、必要なタイミングで起用してきた。三笘移籍後の宮城の抜擢や、新加入したマルシーニョ獲得の判断。マルチロールぶりが光る旗手怜央、橘田健人の能力を引き出したのは鬼木監督の観察力と思い切りの良さだった。そういう意味では車屋紳太郎のCBでの勝負を認めたシーズン当初の決断も、谷口彰悟の離脱を考えれば吉と出ている。
泥臭く勝った試合も複数あるが、その結果も鬼木監督の勝負へのこだわりが選手たちを動かしたがゆえに掴めたものであり、つまるところ、監督の力量が現在までの結果をもたらした最大の要因と言えるのではないだろうか。
取材・文●江藤高志(川崎フットボールアディクト編集長)
そして鬼木監督のチームマネジメント力のもうひとつの側面が観察力であろう。若手選手の力量を見極め、ここ一番で積極的に起用。また複数ポジションの適性を見抜き、それができる選手を、必要なタイミングで起用してきた。三笘移籍後の宮城の抜擢や、新加入したマルシーニョ獲得の判断。マルチロールぶりが光る旗手怜央、橘田健人の能力を引き出したのは鬼木監督の観察力と思い切りの良さだった。そういう意味では車屋紳太郎のCBでの勝負を認めたシーズン当初の決断も、谷口彰悟の離脱を考えれば吉と出ている。
泥臭く勝った試合も複数あるが、その結果も鬼木監督の勝負へのこだわりが選手たちを動かしたがゆえに掴めたものであり、つまるところ、監督の力量が現在までの結果をもたらした最大の要因と言えるのではないだろうか。
取材・文●江藤高志(川崎フットボールアディクト編集長)