陽性となったスタッフに謝罪されたことに涙「誰も責められないから頑張ろう」
例えば、印象に残る出来事として、コロナ陽性者が出た際の対応がある。川崎はウズベキスタン遠征からの帰国後、コロナ禍となって初めての陽性者を出し対応に追われた。試合の準備もままならず、いざという時の言い訳は十分だった。ただ鬼木監督はこの経験をバネにする。陽性者から謝罪の言葉を受けた鬼木監督はそう言わせてしまったことを気に病み、「清水戦もそういう人たちに、心配をかけないようにというか。勝てば申し訳ないとかそういう気持ちもなくなるから。必ず勝とうと。本当に誰も責められないから頑張ろう」と話をして、試合に臨んだのだという。厳しい行動制限の中、それでも罹ってしまったスタッフに謝罪されたことに涙したが、その事実をチームの団結力へと昇華させたことになる。実際に選手たちは奮起し、この清水戦を2-0で勝利。結果を出したことで陽性者に心理的な負担をかけさせなかった。
こうした逆境に立たされた時にその指揮官の指導力が問われることになるが、鬼木監督は選手たちをうまくローテーションさせて疲労の分散を図り、それがチームの底上げにもつながる。例えばこの清水戦では宮城天を先発で抜擢。宮城はこれがフロンターレでリーグ戦のデビュー戦で、勝利に貢献。その後も宮城は出場機会を与えられ、場数を踏み、9月22日の鹿島戦では後半アディショナルタイムの決勝弾で結果を出した。
一方で川崎は前述の通りウズベキスタン遠征後に得点力が低下し、8月後半には著しい苦境に陥った。8月14日の柏戦を0-0で引き分けると、同19日の天皇杯清水戦を経て、同21日の広島戦は1-1、そして同25日には福岡に0-1で敗れ、今季初黒星を喫した。リーグ戦は3試合連続で勝ち星なく、ついに2位の横浜には勝点差1にまで迫られるという苦しい状況が続いていた。
特に深刻だったのが試合内容の悪さで、チームの歯車は狂っていた。悪い流れの中のシーズン初黒星で、チームは瓦解しても不思議ではなかったが、そんな福岡戦後に鬼木監督が強調していたのがメンタリティの部分だった。
「昨日は、敗戦はしましたけれども、そこまで戦ってきた選手たちの努力とか記録もそうですけど、そういうものがなくなるわけではない」と言い、選手たちには「自信を持って戦おう」と伝えたという。そんな鬼木監督の言葉もあるのか、脇坂泰斗は同じ日の取材において「シーズン長い目で見れば、こういった時期っていうのは必ずありますし」と、現状を認めながらも、2019・20年の経験を振り返り「それ(悪い自分たち)を受け入れずに、自分たちで打開していくんだっていう強い気持ちが必要になるかなと思います」と述べている。鬼木監督が言い続けてきたメンタルの重要性が選手たちにも浸透した結果、苦しい時期にも飲み込まれることなく、状況を前向きに捉えている様子が伝わってくる。
一方で川崎は前述の通りウズベキスタン遠征後に得点力が低下し、8月後半には著しい苦境に陥った。8月14日の柏戦を0-0で引き分けると、同19日の天皇杯清水戦を経て、同21日の広島戦は1-1、そして同25日には福岡に0-1で敗れ、今季初黒星を喫した。リーグ戦は3試合連続で勝ち星なく、ついに2位の横浜には勝点差1にまで迫られるという苦しい状況が続いていた。
特に深刻だったのが試合内容の悪さで、チームの歯車は狂っていた。悪い流れの中のシーズン初黒星で、チームは瓦解しても不思議ではなかったが、そんな福岡戦後に鬼木監督が強調していたのがメンタリティの部分だった。
「昨日は、敗戦はしましたけれども、そこまで戦ってきた選手たちの努力とか記録もそうですけど、そういうものがなくなるわけではない」と言い、選手たちには「自信を持って戦おう」と伝えたという。そんな鬼木監督の言葉もあるのか、脇坂泰斗は同じ日の取材において「シーズン長い目で見れば、こういった時期っていうのは必ずありますし」と、現状を認めながらも、2019・20年の経験を振り返り「それ(悪い自分たち)を受け入れずに、自分たちで打開していくんだっていう強い気持ちが必要になるかなと思います」と述べている。鬼木監督が言い続けてきたメンタルの重要性が選手たちにも浸透した結果、苦しい時期にも飲み込まれることなく、状況を前向きに捉えている様子が伝わってくる。