なぜメッシは“このタイミング”で退団となったのか?
話をバルセロナに戻しましょう。メッシが退団に至ったのは、クラブの収入に対して人件費を70%に抑えなければならないというルールに抵触したというのが発端となっていますが、ではなぜ今回のタイミングでこの話が浮上したのかというのも鍵になります。
バルセロナの公式ホームページ上でも、今年の6月上旬の段階でこのサラリーキャップ制度に引っ掛かっており、新戦力の登録が簡単ではない可能性があるとしていることからすると、早い段階でこの問題に気がついていたのは間違いない。そもそも昨夏にも、リヨンのメンフィス・デパイの移籍を巡って個人合意はしていましたが、サラリーキャップの問題があり契約に至りませんでした。
ジョゼップ・マリア・バルトメウ前会長の残した負の資産というのが大部分になりますが、そこにコロナウイルスによる経済ショックが重なったことが決定打になったのは否めません。チケット代でだけで、日本円にして約200億円近く年間の収入がダウンしてしまったのです。
仮に総収入が1000億円だった場合、サラリーキャップ制で人件費は70%の700億円以下に抑えなければいけないことになります。しかし、チケット代の200億円のマイナスで、総収入が800億円になると、560億円以下にしなければいけない計算になります。つまり、単純計算で1000億円の56%前後に抑えなければならないということになってしまいます。
このことは取締役会が行なわれた昨年の10月の段階で表面化はしておりましたが、2021年の早い段階で無観客の制限は解除される見込みと報告されていたことから、なんとかなると踏んでいたのでしょう。
そこにコパ・アメリカによるチーム活動からの離脱から、契約に至る合意が遅れたということで、メッシが一時的にフリーの状態になってしまいました。マテウス・フェルナンデスの契約解除の手法でも問題になっていましたが、半ば無理矢理選手の契約を打ち切るなどしてもがいたものの、“時すでに遅し”ということだったのでしょう。
バルセロナの公式ホームページ上でも、今年の6月上旬の段階でこのサラリーキャップ制度に引っ掛かっており、新戦力の登録が簡単ではない可能性があるとしていることからすると、早い段階でこの問題に気がついていたのは間違いない。そもそも昨夏にも、リヨンのメンフィス・デパイの移籍を巡って個人合意はしていましたが、サラリーキャップの問題があり契約に至りませんでした。
ジョゼップ・マリア・バルトメウ前会長の残した負の資産というのが大部分になりますが、そこにコロナウイルスによる経済ショックが重なったことが決定打になったのは否めません。チケット代でだけで、日本円にして約200億円近く年間の収入がダウンしてしまったのです。
仮に総収入が1000億円だった場合、サラリーキャップ制で人件費は70%の700億円以下に抑えなければいけないことになります。しかし、チケット代の200億円のマイナスで、総収入が800億円になると、560億円以下にしなければいけない計算になります。つまり、単純計算で1000億円の56%前後に抑えなければならないということになってしまいます。
このことは取締役会が行なわれた昨年の10月の段階で表面化はしておりましたが、2021年の早い段階で無観客の制限は解除される見込みと報告されていたことから、なんとかなると踏んでいたのでしょう。
そこにコパ・アメリカによるチーム活動からの離脱から、契約に至る合意が遅れたということで、メッシが一時的にフリーの状態になってしまいました。マテウス・フェルナンデスの契約解除の手法でも問題になっていましたが、半ば無理矢理選手の契約を打ち切るなどしてもがいたものの、“時すでに遅し”ということだったのでしょう。
昨夏も功労者であったルイス・スアレスを ライバルのアトレティコ・マドリーにタダで放出したバルサは、今回もメッシを移籍金なしで放出することになりました。やはり“取れるところは取る“というスタンスを持たないと、退団してしまったが、置いていくもの(移籍金)は置いていった、という最低限の納得感すら残らないことになります。
感情的な部分と冷酷な部分が交差するフットボールビジネスの難しい部分ではありますが、クラブ側にしてみれば、1000億円を超える価値があると言われていた選手が、ある日突然に0円になってしまうような現実は、なんとも受け入れがたいのではないでしょうか。
そして同時に、ある種青天井とも言える状態でトップ選手を高額な移籍金&サラリーで獲得し続けている他国のクラブがあるなか、サラリーキャップ制のような選手獲得に制限が多いスペイン勢のチャンピオンズ・リーグ制覇はしばらく訪れないかもしれません。
リーグ運営と言う視点では非常に良い結果をもたらしつつあるものの、ヨーロッパの舞台おいては、競争力がなくなりつつあり、このままなら今後の展望も厳しいものになると言えるのではないでしょうか。
文●酒井浩之
感情的な部分と冷酷な部分が交差するフットボールビジネスの難しい部分ではありますが、クラブ側にしてみれば、1000億円を超える価値があると言われていた選手が、ある日突然に0円になってしまうような現実は、なんとも受け入れがたいのではないでしょうか。
そして同時に、ある種青天井とも言える状態でトップ選手を高額な移籍金&サラリーで獲得し続けている他国のクラブがあるなか、サラリーキャップ制のような選手獲得に制限が多いスペイン勢のチャンピオンズ・リーグ制覇はしばらく訪れないかもしれません。
リーグ運営と言う視点では非常に良い結果をもたらしつつあるものの、ヨーロッパの舞台おいては、競争力がなくなりつつあり、このままなら今後の展望も厳しいものになると言えるのではないでしょうか。
文●酒井浩之