――ちなみに、岩清水選手ご自身が「WEリーグが始まる」ということに対して、世間とのギャップを感じたことがありますか？

　私は、趣味でゴルフをやっているんですが、練習場を経営する知り合いのオーナーさんと話す機会があって。競技が違うとはいえ、スポーツに興味は持っていらっしゃると思っていたのですが、「女子のプロサッカーリーグが開幕する」ことはご存じなかったんです。スポーツが好きな方でも、誰もが知っているわけじゃないということは、改めて肌で感じました。

　私たちの開幕戦は、９月12日（日）、三菱重工浦和レッズレディースと行なわれるのですが、試合会場となる味の素フィールド西が丘のご近所の方々には、現在、アプローチしています。板橋区や北区にお住まいのお母さん方には、少しずつ浸透しているのかな。ホームタウンの稲城や、多摩でも広めていきたいですね。

――そこまで浸透して初めて「ＷＥリーグ開幕」という雰囲気が作られるのでしょうか？

　そう思います。今、話題に出た子供のいるお母さんたちも、「Ｊリーグ」というワードは知っているんですよね。そこと「WEリーグ」を結び付けて覚えてもらうのもアリだと思います。あとは、願わくば、地上波のスポーツ番組など、誰もが目にするようなところでWEリーグの試合結果だけでも流してもらえたら……。お母さんたちが見られる時間に流れるのかどうかわかりませんが、アプローチする機会が欲しいですね。

――最近は代表戦の解説など、地上波のテレビ番組に出演されていますね。それもアピールの場を増やしていきたいからという気持ちがあるんでしょうか？

　秋にWEリーグが始まるまで、呼んでいただける限りは、なるべくメディアには出演したいと思っています。WEリーグを知ってもらうには、やっぱりテレビ、新聞、雑誌など、メディアの力を借りなければ難しいですし、声をかけてくださっていることに感謝しています。

　まだ、WEリーグが始まるということを知らない層にも届くように、選手たち自身、私自身も、ある意味、広告塔とならなければいけない。

　例えば、解説で参加させて頂いているなでしこジャパンの試合には、自分が対戦した選手や、チームメイトもたくさん出場しています。放送中に、少しでも選手の得意なプレーだったり、逆にプレー以外の人柄だったりを伝えることが、現役選手としての自分ができることかなと考えています。

――観客動員5,000人という目標にも、大きくかかわりそうですね。

　やがて、コロナ禍が落ち着いた後でも、5,000人が入ってくれるのかというところは、選手たちについてくる問題ですよね。

　ひとつのお手本になるのが、アメリカの女子プロリーグ。選手は集客にSNSを活用していて、Twitterに試合の映像が上がったり、選手たちの映像も流したりしていて、使い方が上手なんです。参考にしつつ、自分たちの活動に生かしていけたらいいですね。

　贅沢な話ですが、リーグ開幕の直前には、周囲から「いよいよ始まりますね」と声をかけてもらえるくらいになっていたらうれしいですね。

――ずっと応援を続けてくれているサポーターと、WEリーグのスタートをきっかけに興味を持ってくれる新しいファン。WEリーグ成功には、そのふたつの力が求められますね。

　はい。いつも会場に足を運んでくださっている方々には、本当に、心から感謝しています。これからプロリーグという形に変わりますけれども、自分たちはこれまで同様、感謝の気持ちを持ち続けているので、これからも変わらずに応援して欲しいと思います。

　そして、WEリーグ成功には、新しいお客様に来場していただくことも必要不可欠です。こちらからのアプローチもたくさんしていかなければいけないですし、新規のお客様にもWEリーグの会場へ足を運んでいただけるように、頑張っていきたいです。

後編へ続く―――

取材・文●西森彰