「やっぱりサッカーをしている以上プロを目指す。すると、プロとしてサッカーで稼ぐことが一番カッコいいとなる。そこでほかの仕事をしながら、となるとどこか逃げたような、ネガティブなイメージがありました。実際JFLの時など他の仕事をしたくないと感じていた時期もありました」
JFLで必要とされなければサッカーを辞めようと決めていた。そして入団から3年後、本人曰く「クビになった」。サッカーを辞めるつもりで就職活動を始め、内定ももらった。しかし、関西大学時代の恩師である島岡健太が南葛SCの監督に就任することになり、
「最後の1年という気持ちで俺の元でサッカーをやってみろ」
と誘われた。そして上京して就職した会社が、内定を辞退したバリュエンスホールディングス株式会社(内定当時は前身の株式会社SOU)。南葛SCに入るために内定を辞退した会社に再び雇用されるという不思議な縁のもと、今もサッカーを続けている。
かつてはサッカー以外の仕事をすることに正直、抵抗感を抱いていた。だが、価値観はひとつではない。もしあの時サッカーを辞めていたら得られなかったであろう“気付き”を仕事によってもたらされると、新たな地平が開けたりするから不思議だ。
「ブランド物を鑑定するときに、まず商品と状態を見るんですが、『人を見ろ』と教えられています。つまり、お客様のことを見るんです。どんな思いで持ってきたのか、商品にどんな思い入れがあるのか、をしっかり聞いて、お客様もハッピーな気持ちで帰れるように接客することを心がけています」
実際に鑑定作業をするまで知らなかったやり方だ。こういった新たな体験が、社会人のキャリアを蓄積させるとともに、サッカーにも通じてくるということを体験している。
「お客様と話す時は、自分の言葉はまず脇に置き、言っていることをしっかり聞く。そして相手の意思を尊重してから自分の意見を言う。その際の言葉遣いも、丁寧語や尊敬語を使い分けて、お客様の様子に合わせて対応を変える。結局は人と人のつながりです。これってサッカーにも通じることで。人によって声のかけ方や対応を変える、という点で仕事から学んでいます」
逆にサッカーをしていたからこそ仕事に活かせている点もある。
「たまに怒られたりする時にシュンと落ち込む時間は無駄だとは、サッカーをやっている時から思っていて。なので仕事で怒られたとしても、すぐに行動に移すことを心がけています」
仕事がサッカーに、サッカーが仕事にそれぞれ活かされ、人としてもプレーヤーとしても成長を果たす。布施周士の話を聞いていると、南葛SCの岩本GMやバリュエンスホールディングス株式会社の嵜本社長が期待する点に気付きつつある気がするのだ。
「本当はみんなサッカー一本で生活したい希望はあると思うんです。だから仕事をしていて辛い気持ちになることもあるでしょう。でも、現状としてそれが叶わないのであれば受け止めるしかなくて、今を頑張るしかない。南葛SCをJリーグに上げたいし、そのためにはサッカーと仕事でポジティブなサイクルを作っていくことが今できるベスト。結局のところ、サッカーが好きなんです。僕だって一度辞めようとしてやっぱり辞められなかった。今になって再確認してます」
思い描いたサッカー人生とは違う道のりを行っているのかもしれない。だが布施周士は社会人としてもサッカー選手としても成長している。そしてサッカーを続けている。
(このシリーズ了)
取材・文●伊藤 亮
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