「お前ら本当にサッカー好きか?」
僕が小さいころは、簡単にプロの試合が見られず、今ほど気軽に映像でサッカーを見られる時代でもなかったのですが、ちょうど90年のワールドカップくらいからビデオを撮って見られる時代になったので、ワールドカップのたびに見られるだけ見ましたね。良いプレーを何度も巻き戻して見たり、同じポジションの選手のことを追い続けたりしていました。
私が中学2年生くらいの頃は、ディフェンスをやっていたので、ワールドカップに出ているような同じポジションのスター選手を追いかけました。当時はセリエAのミランが強くて、トヨタカップが唯一といって良いほど、スター選手の試合が観られる機会でもあったので、本当に何度も何度も見直しました。
フランコ・バレージやオランダトリオのフランク・ライカールト、ルート・フリット、マルコ・ファン・バステンなどのプレーを見て。それを後日練習の時に、ここは右足で跨いでとか、ボールを右に動かしてとか、何度も真似ました。
上手く行けばうれしいですし、上手くいかなかったらもう一回家に帰ってビデオを見て、何が違うのかな?と、研究とは言い過ぎですが、何回もビデオを繰り返して。私にとっては、そんなことが「見る」「考える」の練習にもなりました。
好きな選手に憧れて真似ることで、プレーの発想を知って、出来る事が増えていく楽しさがあって、身体に染みつくまで練習すると、試合中に咄嗟に出せたり、そうやって選択肢が増え、成功体験を積み上げることで、さらにサッカーが楽しくなる。
私が中学2年生くらいの頃は、ディフェンスをやっていたので、ワールドカップに出ているような同じポジションのスター選手を追いかけました。当時はセリエAのミランが強くて、トヨタカップが唯一といって良いほど、スター選手の試合が観られる機会でもあったので、本当に何度も何度も見直しました。
フランコ・バレージやオランダトリオのフランク・ライカールト、ルート・フリット、マルコ・ファン・バステンなどのプレーを見て。それを後日練習の時に、ここは右足で跨いでとか、ボールを右に動かしてとか、何度も真似ました。
上手く行けばうれしいですし、上手くいかなかったらもう一回家に帰ってビデオを見て、何が違うのかな?と、研究とは言い過ぎですが、何回もビデオを繰り返して。私にとっては、そんなことが「見る」「考える」の練習にもなりました。
好きな選手に憧れて真似ることで、プレーの発想を知って、出来る事が増えていく楽しさがあって、身体に染みつくまで練習すると、試合中に咄嗟に出せたり、そうやって選択肢が増え、成功体験を積み上げることで、さらにサッカーが楽しくなる。
近年ではサッカー環境も良くなり、いろんなチームで専門のコーチがいて、練習も週5回もあったり、目標を決めさせるチームも多く、ノートに気づいたことを書かせて自分で「考える」トレーニングまでやるところも多いと思います。そんな方法論はいろんなところで教えてもらえると思います。
その一方で、練習が練習のためのものになっていたり、与えられたトレーニングをこなすだけになったりしては勿体ない。いろんな道筋や方法以上に、私が必要だと思っているのは、まず勝ちたいかどうか。負けたくない、勝ちたいという強い意思は、「上手くなりたい」ということと同義のようなところがあると思います。
ちょっと苦しい練習を乗り越えられるか、ミニゲームや試合でも、やはり負けることが嫌い、勝つことが好きというのは、プロになった選手が全員持っているモノ。メンタルの部分に関しては、そこがなければプロになるのは厳しいと思います。
もう一つ絶対に必要なことはサッカーが好きかどうかです。教える立場に立って純粋に今一番思うことは、「お前ら本当にサッカー好きか?」ということですね。
もちろんサッカーをやっている子どもたち、とくにプロを目指そうという人は大きく言えばみんなサッカーが好きなんだと思います。ただ、情報が多すぎて、サッカーを頭だけで考えがちです。
「考えろ」と言っておきながら矛盾していることかもしれませんが、目の前にボールがあったら蹴ってしまう。二人でいたら蹴り合う。それくらい純粋にサッカーが好きというところ、そこの情熱というか、なんというか。今年指導者を始めて、自分たちの時代と比べるのも変ですけど、情熱というかパッションというか、そういう部分が少し自分としては物足りなさも感じます。時代なのかな……。
それでも、内から湧き出るものというのは、絶対に必要ですね。困難なことに絶対にぶち当たるので、その時にめげずにそこに向かっていける力。どうにか上手くなりたいとか、なんとか勝ちたいとか、その根底にあるのが、サッカーが好きという感情だと思います。
コロナ禍のなか、難しい状況が続きます。もちろんサッカーが好きでボールを蹴るのが一番ですが、それが出来ない時でも「見る」こと「考える」ことはできると思います。テレビや配信映像からでも刺激を得られるはずで、その刺激をどう自分に置き換えられるか。受けた刺激から、自分にトライできることを見つけられるか。そんなことが出来れば成長のスピードは加速していくのではないでしょうか。
【著者プロフィール】
明神智和(みょうじん・ともかず)/1978年1月24日、兵庫県出身。シドニー五輪や日韓W杯でも活躍したMF。黄金の中盤を形成したG大阪では2014年の国内3冠をはじめ数々のタイトル獲得に貢献。現在はガンバ大阪ユースコーチとして活躍中。「初の著者『徹する力』が2月末刊行予定、Amazonにて予約受付中」Amazonページ(https://amzn.to/3nIsgGb)
その一方で、練習が練習のためのものになっていたり、与えられたトレーニングをこなすだけになったりしては勿体ない。いろんな道筋や方法以上に、私が必要だと思っているのは、まず勝ちたいかどうか。負けたくない、勝ちたいという強い意思は、「上手くなりたい」ということと同義のようなところがあると思います。
ちょっと苦しい練習を乗り越えられるか、ミニゲームや試合でも、やはり負けることが嫌い、勝つことが好きというのは、プロになった選手が全員持っているモノ。メンタルの部分に関しては、そこがなければプロになるのは厳しいと思います。
もう一つ絶対に必要なことはサッカーが好きかどうかです。教える立場に立って純粋に今一番思うことは、「お前ら本当にサッカー好きか?」ということですね。
もちろんサッカーをやっている子どもたち、とくにプロを目指そうという人は大きく言えばみんなサッカーが好きなんだと思います。ただ、情報が多すぎて、サッカーを頭だけで考えがちです。
「考えろ」と言っておきながら矛盾していることかもしれませんが、目の前にボールがあったら蹴ってしまう。二人でいたら蹴り合う。それくらい純粋にサッカーが好きというところ、そこの情熱というか、なんというか。今年指導者を始めて、自分たちの時代と比べるのも変ですけど、情熱というかパッションというか、そういう部分が少し自分としては物足りなさも感じます。時代なのかな……。
それでも、内から湧き出るものというのは、絶対に必要ですね。困難なことに絶対にぶち当たるので、その時にめげずにそこに向かっていける力。どうにか上手くなりたいとか、なんとか勝ちたいとか、その根底にあるのが、サッカーが好きという感情だと思います。
コロナ禍のなか、難しい状況が続きます。もちろんサッカーが好きでボールを蹴るのが一番ですが、それが出来ない時でも「見る」こと「考える」ことはできると思います。テレビや配信映像からでも刺激を得られるはずで、その刺激をどう自分に置き換えられるか。受けた刺激から、自分にトライできることを見つけられるか。そんなことが出来れば成長のスピードは加速していくのではないでしょうか。
【著者プロフィール】
明神智和(みょうじん・ともかず)/1978年1月24日、兵庫県出身。シドニー五輪や日韓W杯でも活躍したMF。黄金の中盤を形成したG大阪では2014年の国内3冠をはじめ数々のタイトル獲得に貢献。現在はガンバ大阪ユースコーチとして活躍中。「初の著者『徹する力』が2月末刊行予定、Amazonにて予約受付中」Amazonページ(https://amzn.to/3nIsgGb)