「当時から彼らは特別なポテンシャルを持っていた」
ただ、冗談好きのアンスにとっては、入団したての頃のタケのたどたどしいスペイン語は、からかううえでの絶好のネタになっていたそうだ。ふたりをよく知る前出のテクニカルスタッフが、当時の関係を振り返る。
「アンスは根っからのいたずらっ子だったからね。どうやったら冷静なタケを怒らせられるか、いつも探りを入れていたんだ。でもタケは、からかわれても平然と受け流していたよ。しまいには冗談で返していたほどだ」
ほどなくしてバルセロナ市内の同じ学校に通うなど、両者の関係はより一層深まっていった。ふたりが通っていたその学校の教師は、懐かしそうにこう語る。
「どちらも、さして成績が優秀というわけではなかったね(笑)。とくにタケは最初の頃、言葉のハンデがあったから。でも、ふたりともいい生徒だったよ」
タケとアンスの関係は、タケが日本に帰国してからも続き、アンスが右脚の脛骨と腓骨を骨折する大怪我を負った15年12月に、タケは早期の回復を願ってビデオメッセージを送っている。
「アンスは根っからのいたずらっ子だったからね。どうやったら冷静なタケを怒らせられるか、いつも探りを入れていたんだ。でもタケは、からかわれても平然と受け流していたよ。しまいには冗談で返していたほどだ」
ほどなくしてバルセロナ市内の同じ学校に通うなど、両者の関係はより一層深まっていった。ふたりが通っていたその学校の教師は、懐かしそうにこう語る。
「どちらも、さして成績が優秀というわけではなかったね(笑)。とくにタケは最初の頃、言葉のハンデがあったから。でも、ふたりともいい生徒だったよ」
タケとアンスの関係は、タケが日本に帰国してからも続き、アンスが右脚の脛骨と腓骨を骨折する大怪我を負った15年12月に、タケは早期の回復を願ってビデオメッセージを送っている。
MICというバルセロナ近郊で開催される育成年代では世界最大規模の国際トーナメントの決勝で、ふたりが大活躍を披露し、バルサがレアル・マドリーを粉砕したこともある。
「ふたりは普段から仲が良かったけど、一番フィーリングが合ったのはやはりピッチ上だったね。いつもお互いを意識しながらプレーしていたよ」
アレビン時代の監督がこう語れば、インファンティル時代の監督も、「優秀な選手同士というのはお互いを認め合い、 引き寄せ合うものだからね」と声を揃え、さらに付け加えた。
「10代そこそこの少年について、将来的にどこまでの選手に成長するかを予測するのは、長年育成に携わっている我々でも不可能だ。でも確かなのは、ふたりのパフォーマンスが突出していたこと。当時から彼らは特別なポテンシャルを持っていた」
その後、タケとアンスが別々の道を歩むことになったのは、冒頭で記した通りだ。タケはふたたびスペインに戻ってきたが、新天地に選択したのはバルサではなく宿敵のマドリーだった。
ふたりは昨シーズン、タケのレンタル先であるマジョルカがホームにバルサを迎えた6月のラ・リーガで再会。2ショット写真をSNSでシェアし、話題を呼んだ。
インファンティル時代の監督が語っていたように、優秀な選手同士はお互いを認め合い、そして引き寄せ合う。ライバル関係にはなってしまったが、タケとアンスがトップカテゴリーで再会できたのも、彼らがずば抜けた才能の持ち主だったからに他ならない。
取材・文●ジョルディ・キシャーノ(エル・パイス紙バルセロナ番)
text by Jordi QUIXANO / EL PAIS
翻訳●下村正幸
translation by Masayuki SHIMOMURA
【著者プロフィール】ジョルディ・キシャーノ/スペインの日刊紙『エル・パイス』のバルセロナ番記者。スポーツ紙『ムンド・デポルティボ』での2年間を経て、エル・パイスではキャリア15年。スペイン・サッカー連盟公認の指導者ライセンスを所有し、戦術分析に定評がある。
※『ワールドサッカーダイジェスト』2020年10月15日発売号より転載
「ふたりは普段から仲が良かったけど、一番フィーリングが合ったのはやはりピッチ上だったね。いつもお互いを意識しながらプレーしていたよ」
アレビン時代の監督がこう語れば、インファンティル時代の監督も、「優秀な選手同士というのはお互いを認め合い、 引き寄せ合うものだからね」と声を揃え、さらに付け加えた。
「10代そこそこの少年について、将来的にどこまでの選手に成長するかを予測するのは、長年育成に携わっている我々でも不可能だ。でも確かなのは、ふたりのパフォーマンスが突出していたこと。当時から彼らは特別なポテンシャルを持っていた」
その後、タケとアンスが別々の道を歩むことになったのは、冒頭で記した通りだ。タケはふたたびスペインに戻ってきたが、新天地に選択したのはバルサではなく宿敵のマドリーだった。
ふたりは昨シーズン、タケのレンタル先であるマジョルカがホームにバルサを迎えた6月のラ・リーガで再会。2ショット写真をSNSでシェアし、話題を呼んだ。
インファンティル時代の監督が語っていたように、優秀な選手同士はお互いを認め合い、そして引き寄せ合う。ライバル関係にはなってしまったが、タケとアンスがトップカテゴリーで再会できたのも、彼らがずば抜けた才能の持ち主だったからに他ならない。
取材・文●ジョルディ・キシャーノ(エル・パイス紙バルセロナ番)
text by Jordi QUIXANO / EL PAIS
翻訳●下村正幸
translation by Masayuki SHIMOMURA
【著者プロフィール】ジョルディ・キシャーノ/スペインの日刊紙『エル・パイス』のバルセロナ番記者。スポーツ紙『ムンド・デポルティボ』での2年間を経て、エル・パイスではキャリア15年。スペイン・サッカー連盟公認の指導者ライセンスを所有し、戦術分析に定評がある。
※『ワールドサッカーダイジェスト』2020年10月15日発売号より転載