■ホッフェンハイム(19-20シーズン:6位)
監督:ゼバスティアン・へーネス
ゼロからのリスタートを切るのは2シーズン連続だ。ユリアン・ナーゲルスマンの後任監督として昨夏に迎えたアルフレッド・シュローダーを昨シーズン途中に解任。そのオランダ人指揮官と強化方針に関する齟齬が生じたため、別の道を歩むことを決断したアレクサンダー・ローゼンSDは今夏、ゼバスティアン・ヘーネスを新監督に招聘した。
38歳のこの青年監督は元西ドイツ代表のディーター・ヘーネスを父に、バイエルン名誉会長のウリ・ヘーネスを伯父に持つドイツ・サッカー界きってのサラブレッド。現役時代にブンデスリーガでプレーした経験はなく、3部時代のホッフェンハイムに1シーズン所属した経歴を持つ。選手ではなく監督として、13年ぶりに古巣と運命が交錯した格好だ。
RBライプツィヒやバイエルンのユースで指導者としての研鑽を積んだヘーネスは、昨シーズンにバイエルンのセカンドチームを望外の3部リーグ優勝に導いた気鋭の監督。とはいえプロクラブのトップチームを率いるのは今回が初めてで、とりわけマネジメント能力が問われそうだ。かつてナーゲルスマンの戦術を公然と批判したアンドレイ・クラマリッチのように、一癖も二癖もある選手たちをうまくひとつにまとめ上げなければならない。
陣容はほとんど変わっていない。8月21日時点の新戦力はスティーブン・ツバーとのトレードが成立し、フランクフルトからやってきたMFミヤト・ガチノビッチのみ。ただ、レンタルバックのケビン・フォクトや長期離脱明けのイシャク・ベルフォディルも実質的な新戦力であり、6位に入った昨シーズンより戦力値は微増と言えるかもしれない。
未曽有のコロナ禍により、ローゼンSDは大型補強に乗り出さない意向を示しているが、気がかりなのは地元『ラインネッカー新聞』が「リーグ指折りの6番(守備的MFを指す)」と称するフロリアン・グリリチュに移籍の噂が浮上していること。かつての恩師ナーゲルスマン率いるRBライプツィヒから引きがある。このオーストリア代表の流出は防ぎたい。
ラインネッカー新聞が行なっているウェブアンケートでは約4割が「8~11位」でのフィニッシュを予想と、地元における新体制への期待は慎ましやかなもの。過度のプレッシャーに晒されないことは、ブンデスリーガ初挑戦のヘーネスにとってはありがたいはずだ。
【ブンデス20-21開幕ガイド 第2回】は9月3日(木)配信予定です。
文●遠藤孝輔