キーワードは「攻撃的」「コレクティブ」「攻守の切り替え」「ボールとスペースの支配」
冒頭で、ネルシーニョ体制から吉田体制への移行は、「まったく異なるスタイルへの方向転換」になると書いたが、厳密に言えば、工藤、武富、茨田、山中、秋野、小林、中川、中谷などのアカデミー出身選手たちにとっては、アカデミーのスタイルがトップチームへ移植されるだけで、もともと自分たちが馴染んできたサッカーへ戻るという感覚が強いはずだ。
また、ここでは「ポゼッション」という表現を使用してきたが、吉田監督自身はこのワードを用いていない。例えば、チーム始動日の1月15日に選手へ伝えたのは以下の内容だった。
「選手には『相手を壊しにいくようなサッカーをしようと』と話しました。攻める時は、ボールはひとつしかないからボールを持とうとなる。相手ボールになれば、ボールを奪おうとなる。たったそれだけのことを明確に伝えました」
「パスをつなぐ」ことが戦術の基軸にはあるのは間違いないが、そればかりではない。ボランチの大谷秀和はこう語る。
「すべてがパス、パスというわけではない。裏にスペースが空いているならシンプルにそこへフィードを狙う。そういうことはタツさん(吉田)から言われています」
あえて言葉で表現するならば、「ポゼッション」という括りでまとめるのではなく、柏アカデミーで用いられる4つの言葉、「攻撃的」「コレクティブ」「攻守の切り替え」「ボールとスペースの支配」を使用したほうが適切だろうか。
そのサッカーを確立するために、練習で選手に求める要求も「プロなので、質については高いレベルを求められますが、内容に関してはユースの頃とまったく変わらない」(工藤)そうだ。
工藤や茨田のようなアカデミー出身選手だけでなく、このスタイルに初めて触れる鈴木大輔や増嶋竜也らも「指示が細かくて明確なので分かりやすい。このサッカーなら成長できると思う」という旨をコメントしており、全選手が前向きに練習へと取り組んでいる。
まだ40歳と若く、Jリーグでの指揮経験がない監督の就任は、確かにリスクがある。だが、U-12からトップチームまでのコンセプト一貫化を実現させたクラブの、その旗頭として十数年前から尽力してきた吉田監督は、リスクや不安要素以上に、大きな可能性を感じさせる。
文:鈴木 潤(フリーライター)
また、ここでは「ポゼッション」という表現を使用してきたが、吉田監督自身はこのワードを用いていない。例えば、チーム始動日の1月15日に選手へ伝えたのは以下の内容だった。
「選手には『相手を壊しにいくようなサッカーをしようと』と話しました。攻める時は、ボールはひとつしかないからボールを持とうとなる。相手ボールになれば、ボールを奪おうとなる。たったそれだけのことを明確に伝えました」
「パスをつなぐ」ことが戦術の基軸にはあるのは間違いないが、そればかりではない。ボランチの大谷秀和はこう語る。
「すべてがパス、パスというわけではない。裏にスペースが空いているならシンプルにそこへフィードを狙う。そういうことはタツさん(吉田)から言われています」
あえて言葉で表現するならば、「ポゼッション」という括りでまとめるのではなく、柏アカデミーで用いられる4つの言葉、「攻撃的」「コレクティブ」「攻守の切り替え」「ボールとスペースの支配」を使用したほうが適切だろうか。
そのサッカーを確立するために、練習で選手に求める要求も「プロなので、質については高いレベルを求められますが、内容に関してはユースの頃とまったく変わらない」(工藤)そうだ。
工藤や茨田のようなアカデミー出身選手だけでなく、このスタイルに初めて触れる鈴木大輔や増嶋竜也らも「指示が細かくて明確なので分かりやすい。このサッカーなら成長できると思う」という旨をコメントしており、全選手が前向きに練習へと取り組んでいる。
まだ40歳と若く、Jリーグでの指揮経験がない監督の就任は、確かにリスクがある。だが、U-12からトップチームまでのコンセプト一貫化を実現させたクラブの、その旗頭として十数年前から尽力してきた吉田監督は、リスクや不安要素以上に、大きな可能性を感じさせる。
文:鈴木 潤(フリーライター)