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「僕はマークを巻いてるだけ」南アでの大抜擢!長谷部誠が難局で見せた振る舞いとは?【日本代表キャプテンの系譜】

カテゴリ:連載・コラム

元川悦子

2020年06月02日

「今でも佑二さんがキャプテンだと思ってる」と言い切った長谷部

大会直前に中澤からキャプテンマークを受け継いだ長谷部。大会後には率直な想いを語った。写真:サッカーダイジェスト

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「前に出すぎないリーダー」というのは、周りを輝かせるものだ。結果的に6月14日の初戦・カメルーン戦(ブルームフォンテーヌ)では松井が得意の切り返しから絶妙のクロスを上げ、前線のエアポケットに入り込んだ本田が決勝点を奪った。19日の第2戦・オランダ戦(ダーバン)はヴェズレイ・スナイデルにスーパーシュートを決められ、0-1で苦杯を喫したものの、24日のグループ最終戦・デンマーク戦(ルステンブルク)は3-1で勝利。本田、遠藤が伝家の宝刀の直接FKを決め、大会直前にスタメン落ちした岡崎慎司(ウエスカ)もダメ押し点を奪った。

 デンマーク戦では相手の布陣に合わせて遠藤・阿部の2ボランチで入ったが、序盤は混乱。開始10分過ぎに遠藤らが「元に戻した方がいい」と提言し、4-1-4-1に変更することになったが、こうした場面でも長谷部は仲間の考えを尊重。岡田監督とのつなぎ役に徹した。そうやって要所要所では言うべきことを言うのが、26歳の若きキャプテンだった。試合後にも「オカは最近、なかなか試合に出られない中で決めてくれた。チームとしても盛り上がるのですごくよかった」と岡崎を慮る発言をするなど、つねに気配りを怠らなかったのも特筆すべき点だ。

 こうして一枚岩になった日本は下馬評を覆してベスト16進出を果たし、パラグアイ戦(プレトリア)も延長・PK戦の死闘を演じた。駒野のPK失敗が響いてベスト8の壁は破れなかったが、彼らは最後の最後まで諦めずに戦い続けた。敗れた後、長谷部は駒野を励まし、ベンチで支えてくれた川口や中村俊輔(横浜FC)らを労うなど、チームメートに敬意と感謝を示し続けた。

 もうひとつ、印象的だったのが、試合後のミックスゾーン。号泣する駒野が無言で通り過ぎ、中村俊輔や内田篤人(鹿島)も涙を流す中、ラスト数人というところで現われたキャプテンは報道陣の何重もの人垣を見て「押さないでください。大きい声で喋るんで大丈夫です」と真っ先に声をかけたのだ。取材者にまで気配りしたうえ、「僕はキャプテンらしいことは本当に何もしてなくて、能活さん、ナラさん、佑二さんがチームを引っ張ってくれた。自分はプレッシャーも何もなくやれました。僕は今でも佑二さんがキャプテンだと思ってるし、一時的にマークを預かっているだけという気持ちです」と言い切ったのだから、パーフェクトな対応だったと言っていい。

「みんながやりやすいように振る舞う」という長谷部の首尾一貫した行動は真のリーダーに相応しかった。あの修羅場で彼を抜擢した岡田監督の心眼には本当に恐れ入る。

文●元川悦子(フリーライター)
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