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森保ジャパン再検証――若手抜擢に収穫も監督“兼任”は限界か…五輪&最終予選へ、求められる日本協会の決断

カテゴリ:連載・コラム

元川悦子

2020年05月03日

新型コロナの影響で五輪延期。監督兼任は明らかに困難な状況に

来年は五輪チームの強化とW杯アジア最終予選の日程がバッティング。兼任は難しい情勢となっている。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 一方、森保ジャパンの場合、現段階では日頃3バックでやっている選手をA代表にすんなり昇格させられない状況だ。久保建英(マジョルカ)や田中碧(川崎)のように引き上げができているポジションもあるが、全てが順調とは言い切れない。DFを例に取ると、指揮官が就任当初から起用した冨安は別格としても、同じ欧州組の中山雄太(ズウォレ)や板倉滉(フローニンヘン)は慣れや経験の問題があって大胆抜擢はしづらい。サイドバックも東京五輪世代はウイングバック的なタイプが多いだけに、酒井や長友の代役という意味では難しい。

「対戦相手や状況によって臨機応変にシステムや戦い方を変えられるようにしなければいけない」と森保監督は口癖のように言っているが、代表活動日数が激減している今、3バックと4バックの両方を完璧にこなせるまで練習する時間はA代表にも東京五輪代表にもない。最初からフォーメーションを統一していれば、若手引き上げはもう少しスムーズに行ったのではないかという見方もできる。2019年6月のコパ・アメリカ(ブラジル)を混成チームで挑むなど、指揮官も世代間融合を推進しようという姿勢を強く押し出しているだけに、やはり現状は残念だ。

 もう1つ、森保監督には2つの代表活動の重複という大きな課題がある。2019年11月シリーズではキルギス→広島→大阪という超強行日程で動いてA代表と東京五輪世代の指揮を執ったが、どの試合も中途半端な形に終わっている。これを受け、今年3月シリーズではどちらを中心に率いるかという議論がなされていた最中に新型コロナウイルスが拡大。全ての代表活動がストップしてしまった。今後の国際試合の再開メドが立っていないうえ、2021年までズレ込む可能性もあるが、指揮官がどういう身の振り方をするかは事前に決めておかなければいけない点だ。

 2021年7月に東京五輪が予定通り開催される場合、チーム強化に充てられる時間は3・6月のインターナショナルマッチデー(IMD)と7月の直前合宿だけ。3・6月のIMDにはカタール・ワールドカップ予選も入ってくるため、両方を見て回るのは困難。それが最終予選であればなおさらだ。やはり日本サッカー協会は森保監督にどちらをマネージメントしてもらうかを決断する必要がある。

 3月末に就任した反町康治新技術委員長には、2008年北京五輪を指揮した自身の経験を生かしつつ、2つの代表チームがどうあるべきかを明確に打ち出すことを求めたい。そうしなければ、森保監督も先に進めないだろう。

 ここまでA代表で指揮官がやってきたマネージメントにはプラスとマイナスの両面がある。代表活動再開後にA代表専任、あるいは軸足を置くことになるのであれば、最初に掲げた「世代交代」と「世代間融合」をこれまで以上に強く推し進めることが肝心だ。最終予選を確実に突破し、カタールで8強の壁を超えるための道筋を、今こそじっくりと探ってほしい。

文●元川悦子(フリーライター)
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