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森保ジャパン再検証――若手抜擢に収穫も監督“兼任”は限界か…五輪&最終予選へ、求められる日本協会の決断

カテゴリ:連載・コラム

元川悦子

2020年05月03日

五輪世代からA代表への引き上げをより困難にした基本布陣の違い

 その後、指揮官は戦い方のバリエーションを広げようと年齢に関係なくさまざまな選手を呼び、戦力に加えようとしたが、その作業はとんとん拍子に進んでいるとは言えない。とりわけ、最終ラインは酒井宏樹(マルセイユ)、冨安、吉田、長友の4人への依存度が高いままだ。バックアップ的な位置づけの植田直通(セルクル・ブルージュ)や室屋成(FC東京)、佐々木翔(広島)らが入った時とは安定感や連動性に差があることは認めざるを得ないだろう。

 ボランチも柴崎不在の状況は考えられないし、FWも大迫依存症の明確な解決策が見つかっていない。2022年カタール・ワールドカップアジア2次予選突入後はその課題がより一層、浮き彫りになってきた印象だ。チーム発足時の爆発的な勢いが止まり、足踏み状態に陥っているようにも見受けられるだけに気がかりだ。

 選手層拡大を考えるうえで重要なカギとなるのは、東京五輪世代からのさらなる引き上げだ。しかしながら、森保監督はA代表では4-2-3-1を軸にしているのに、五輪代表ではサンフレッチェ広島時代に好んだ3-4-2-1を採用。このギャップが若返りの足かせになっているとも言える。

 森保監督と同様にA代表と五輪代表を兼務したトルシエ時代を振り返ると、当時は「フラット3」という特殊な守備戦術を採用。指揮官はこれを浸透させるべく、U-20代表だった中田浩二(現鹿島CRO)らにまず叩き込み、その後シドニー五輪世代の宮本恒靖(現G大阪監督)や松田直樹、中澤佑二(現解説者)らに落とし込むと、さらにA代表の森岡隆三(現解説者)らに理解させる。こうした段階的なチーム作りが行なわれた。その結果、2002年時点では誰が出てもスムーズな守備ができるようになっていた。

 それは他のポジションも同様だった。中村俊輔(横浜FC)や小野伸二(琉球)にしてみれば左ウイングバック起用は理不尽に感じただろうし、本来ボランチの明神智和(G大阪ジュニアユースコーチ)も右ウイングバックには戸惑いもあったはずだが、大舞台でも問題なくこなしていた。それは下からの積み上げのなせる業だった。
 
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