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【高校選手権】落胆から再起、リベンジへの決意… 星稜優勝の真のストーリーは「監督不在」にあらず

カテゴリ:高校・ユース・その他

安藤隆人

2015年01月13日

河崎監督自身が最もリベンジへの思いが強かった。

ついに悲願の初優勝を成し遂げた星稜。前回決勝の悔しさを晴らした。(C) SOCCER DIGEST

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 しかし、ここで全国のサッカー仲間が河崎監督を救った。戦友である全国各地の指導者から、言葉が寄せられた。その中に河崎監督を突き動かした言葉があった。
「もう一度、頂点狙えってことだよ」
 
 チャンスを与えてくれた。この悔しさをバネに、河崎監督自身が再び成長するチャンスを与えてくれた。そう思えたことで、情熱の火が再び熱く灯った。
 
 リベンジして全国制覇を成し遂げる――。その思いは選手たちだけでなく、河崎監督にもあった。というより、一番そう強く思っている人間が、先頭にいるからこそ、選手たちはその思いをより大きくし、この1年間サッカーに打ち込めたのだ。これが、河崎監督が今年のチームに植え付けた『かけがえのないもの』だった。
 
 だからこそ、悲願は達成できたのだと思う。それは、決して河崎監督が不慮の事故(※選手権直前の昨年12月26日、御殿場にある合宿地に向かう途中、報道関係者が運転する乗用車が単独事故を起こし、助手席に乗っていた河崎監督は内臓損傷の大怪我を負う。緊急手術し、そのまま長期入院を強いられた)に遭ったことで、選手たちが燃えたからではなく、河崎監督の強い思いが1年を通して、選手たちやスタッフ全体に刷り込まれ、彼らの礎となっていたからに他ならない。
 
「大会中、『監督ならどんな言葉をかけてくれるかな』、『監督ならこういうだろうな』と常に考えながら過ごしていた」(森山)
 
「監督の想い、狙いが分かったことで、ピッチ内外で自然と身体が動いた。監督が一番勝利に対して貪欲だったことも。僕も勝つために何ができるかを常に考えながら過ごした」(前川)
 
「星稜の3年間で一番磨かれたのは人間性。みんな監督の思いは分かっているから、自分が監督代わりになるのではなく、キャプテンとして振る舞った」(DF鈴木大誠)
 
 大会中、常に病床の河崎監督から選手たちにメッセージが届けられた。言葉は短いが、これまで過ごした濃密な時間と情熱とによって、選手たちはその言葉の意図をすぐに理解した。短い言葉の端々に、監督の熱い思いが手に取るように分かる。だからこそ、彼らはピッチの上で躍動することができた。
 
 星稜の全国制覇を、決して「監督不在」の美談だけで片付けてはいけない。彼らが今回成し遂げたことは、大会直前のアクシデントに影響されるような軽いものでは断じてなかったはずだ。河崎監督だったからこそ、このスタッフだったからこそ、選手たちだったからこそ、成し遂げられたものである。これを強調しておきたい。
 
 高校サッカーの素晴らしさ、サッカーが持つ意味や重要性を教えてくれた、彼らの栄冠を薄っぺらな美談として語るのはあまりにもったいない。
 
取材・文:安藤隆人(サッカージャーナリスト)
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