総合的な組織力向上へ。指揮官へ求む「変革」
こういった流れが決して健全だとは思わない。だが、チームとしての一体感と創造性、戦う姿勢を重視するジーコイズムが形となって表われ、飛躍への糸口を掴んだ今、限界を見定めたいという思いもある。
連覇という結果まで叩き出したからには、ワールドカップ予選で敗退するまで現体制は続行されるだろう。せっかく掴んだ手応えを高次元へとつなげていけるのであれば、このチームにも期待をかけることはできる。
だが、ジーコ監督の指揮官としてのアプローチにも、何かしらの変革がなければいけない。「日本らしい自分たちのサッカーをして勝て」とハッパをかけることが多いが、選手たちは「自分たちのサッカー」に関し、過酷な連戦のなかでひとつの答を出した。
だが、それにも限界がある。よりグレードアップさせるためには、指揮官の明確なゲームおよびチームに対するビジョンというものが、やはり必要不可欠になってくる。
今回のアジアカップにおいて、ジーコ監督の采配は常に後手に回っていたと言わざるを得ない。相手が動く、もしくはビハインドを背負ってから、選手を投入する。これはひとつの戦法だろうが、すべてこれではあまりにも進歩がない。実際に投入した選手が活躍する場面が多かったことは、監督自身の資質だ。
とはいえ、先にリスクをかける、もしくは危機を未然に防ぐ方策がもっと採られて然るべきだろう。
バーレーン戦では10人で2‐1としてからも、日本は中田浩のワンボランチのままでリスキーな戦いしかできない陣容になっていた。結果、一度は逆転されてしまった。
「ツネ(宮本)さんに上がれって言われてなかったら行かなかった」と語る中澤の同点ヘッドがなければ、ジーコ采配は大いに問題視されていただろう。
決勝も同様だ。日本は終盤、さすがに中国のフレッシュな選手交代の前に中盤をルーズにしてしまった。2トップである必要はなく、ひとりを削り、本山や小笠原など献身的なチームディフェンスのできる選手を2列目に入れておけば、疲弊していた中村へのフォローともなるし、後方からの飛び出しもより促進できたはずだ。
本山と小笠原は、今大会で監督自身が途中から投入して流れを変えさせた最高のジョーカー。ひとつの収穫となったカードだが、そういった蓄積が采配に生かされていないのである。
いずれにせよ、10月にマスカットで行なわれるオマーンとの直接対決が大きな山場となる。ここには今大会を欠場した中田英、小野、稲本、高原、柳沢、そして久保の6選手が復帰を果たしているだろう。その前のアルゼンチン戦(8月18日)では久保の招集以外は見込めない。
続くインド戦(9月4日)を予行演習として使うにしても、アジアカップを制したチームがベースとならなければ意味がないということだ。
苦闘の末に見出した組織力と一体感が、不在だった主力の帰還とともに消え去ってしまうようだと、もはやお手上げである。あくまでもコンディション重視の基本に立ち、合点のいく先発の人選が行なわれることを期待したい。そこまでうまくシンクロできず、海外組の能力に依存するようだと、オマーンでは相当な苦戦を覚悟しなければならない。
ジーコ監督は言う。
「スタメンもサブもそれぞれの役割をきちんとこなしていた。日本を代表する大きなチームができたと感じている。これが一番の収穫だ」
そのとおりだと思う。結果的にアジアカップは日本にとって素晴らしい大会となったし、チームの方向性もおぼろげながら見えてきた。どんな国に行っても、今回の中国ほど手荒いブーイングは浴びないだろう。
それらすべてを糧とし、快進撃を続けた日本代表は、まさに賞賛に値すると言える。この流れを一過性のモノでなく、さらに高いグレードを誇るチームへとステップアップさせていくのは、紛れもなくジーコ監督自身の仕事である。
本当の意味で、選手たちは監督の期待に応えて見せた。今度は監督が、選手たちの期待に応える番だ。
連覇という結果まで叩き出したからには、ワールドカップ予選で敗退するまで現体制は続行されるだろう。せっかく掴んだ手応えを高次元へとつなげていけるのであれば、このチームにも期待をかけることはできる。
だが、ジーコ監督の指揮官としてのアプローチにも、何かしらの変革がなければいけない。「日本らしい自分たちのサッカーをして勝て」とハッパをかけることが多いが、選手たちは「自分たちのサッカー」に関し、過酷な連戦のなかでひとつの答を出した。
だが、それにも限界がある。よりグレードアップさせるためには、指揮官の明確なゲームおよびチームに対するビジョンというものが、やはり必要不可欠になってくる。
今回のアジアカップにおいて、ジーコ監督の采配は常に後手に回っていたと言わざるを得ない。相手が動く、もしくはビハインドを背負ってから、選手を投入する。これはひとつの戦法だろうが、すべてこれではあまりにも進歩がない。実際に投入した選手が活躍する場面が多かったことは、監督自身の資質だ。
とはいえ、先にリスクをかける、もしくは危機を未然に防ぐ方策がもっと採られて然るべきだろう。
バーレーン戦では10人で2‐1としてからも、日本は中田浩のワンボランチのままでリスキーな戦いしかできない陣容になっていた。結果、一度は逆転されてしまった。
「ツネ(宮本)さんに上がれって言われてなかったら行かなかった」と語る中澤の同点ヘッドがなければ、ジーコ采配は大いに問題視されていただろう。
決勝も同様だ。日本は終盤、さすがに中国のフレッシュな選手交代の前に中盤をルーズにしてしまった。2トップである必要はなく、ひとりを削り、本山や小笠原など献身的なチームディフェンスのできる選手を2列目に入れておけば、疲弊していた中村へのフォローともなるし、後方からの飛び出しもより促進できたはずだ。
本山と小笠原は、今大会で監督自身が途中から投入して流れを変えさせた最高のジョーカー。ひとつの収穫となったカードだが、そういった蓄積が采配に生かされていないのである。
いずれにせよ、10月にマスカットで行なわれるオマーンとの直接対決が大きな山場となる。ここには今大会を欠場した中田英、小野、稲本、高原、柳沢、そして久保の6選手が復帰を果たしているだろう。その前のアルゼンチン戦(8月18日)では久保の招集以外は見込めない。
続くインド戦(9月4日)を予行演習として使うにしても、アジアカップを制したチームがベースとならなければ意味がないということだ。
苦闘の末に見出した組織力と一体感が、不在だった主力の帰還とともに消え去ってしまうようだと、もはやお手上げである。あくまでもコンディション重視の基本に立ち、合点のいく先発の人選が行なわれることを期待したい。そこまでうまくシンクロできず、海外組の能力に依存するようだと、オマーンでは相当な苦戦を覚悟しなければならない。
ジーコ監督は言う。
「スタメンもサブもそれぞれの役割をきちんとこなしていた。日本を代表する大きなチームができたと感じている。これが一番の収穫だ」
そのとおりだと思う。結果的にアジアカップは日本にとって素晴らしい大会となったし、チームの方向性もおぼろげながら見えてきた。どんな国に行っても、今回の中国ほど手荒いブーイングは浴びないだろう。
それらすべてを糧とし、快進撃を続けた日本代表は、まさに賞賛に値すると言える。この流れを一過性のモノでなく、さらに高いグレードを誇るチームへとステップアップさせていくのは、紛れもなくジーコ監督自身の仕事である。
本当の意味で、選手たちは監督の期待に応えて見せた。今度は監督が、選手たちの期待に応える番だ。