【浦和シーズン総括】終盤戦に何が起きたのか?「魔のラスト3試合」を徹底分析する

カテゴリ:Jリーグ

塚越 始(サッカーダイジェスト)

2014年12月18日

超攻撃的布陣も奏功せず、最後に訪れた逆転のチャンスを活かせなかった。

終盤にきて「前傾」の戦いに頼らざるを得なかった浦和。指揮官も勝点3を奪うために相当頭を悩ませたはずだが……。(C) SOCCER DIGEST

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 それでも最終節の名古屋戦、みすみすチャンスを逃し続けた浦和に、特大のボーナスチャンスが訪れる。開始早々にCKから槙野がヘッドで合わせ先制。一方のG大阪は徳島に0-0と苦戦。浦和が1-0で逃げ切れば、あるいは追加点を奪ってトドメを刺せば、「再逆転優勝」できる道筋が見えていたのだ。
 
 しかし、この試合では指揮官の采配が、失敗に終わった。ペトロヴィッチ監督は、65分、負傷した宇賀神の交代を余儀なくされると、関根を投入した。終盤戦お馴染みのパターンで、M・リシャルデスも入れる。またも、超攻撃的な「前傾」にしたのだ。
 
 指揮官の思惑も分からないでもない。浦和はここ2試合同様、またも槙野の開始2分のゴール以降、チャンスらしいチャンスを作れずにいた。関根投入は、もう一度チームを活性化させる意図があったはず。主将の阿部も「ここ最近ずっと、2点目を取れずにいたというのもあった」と語っていた。
 
 なぜ、1-0の状況で守備に難のある関根を投入したのか? その問いに、ペトロヴィッチ監督はこう答えている。
「では、永田、マルシオ(リシャルデス)、誰を投入すれば良かったと言うのか? ウガ(宇賀神)はウイングバックの選手だから、そのポジションの関根を入れただけのことだ」
 
 69分、投入された関根がカットインのドリブルからパスを出し、阿部の決定的なミドルを演出(これが決まっていれば……)。結局、またしてもトドメを刺し切れなかった。
 
 付け加えるならば、G大阪戦でも、名古屋戦でも、関根が決定機を作っていたこと。彼は攻撃のスイッチを入れるという求められた役割をしっかりまっとうしたと言えた。
 
 結果的に、シーズン終盤、関根とM・リシャルデス、この2人を投入し前傾姿勢にせざるを得なかったのは、それまでの全体的なシュート不足が招いたからでもあった。チームドクターの判断を受けたとはいえ、最後に興梠、鈴木の起用にこだわった指揮官が見せた「情の采配」も実らなかった。
 
 梅崎は名古屋戦後、次のように語った。
「(守備が崩壊した)昨年の反省を踏まえ、前掛かりになるのを抑え、切り替えを素早く、布陣をコンパクトにして、チームとしてまとまって戦えていた。2点目を取りたかった……。今年の課題が最後に出てしまった。攻撃的な姿勢をもっと見せるという使命感を感じる」
 
 今さらではあるが、もしかすると、梅崎、李、槙野、柏木……誰かがもう少しシュートを撃って、原口の本数を1本でも上回っていれば……、ポイントとなる試合で1点か2点入り、優勝に漕ぎ着けていたかもしれなかったのだ。
 
 来季に向けて、浦和は大宮のズラタン、柏の橋本和、広島の石原直樹、清水の高木俊幸、仙台の武藤雄樹を獲得。期限付き移籍していた長崎の岡本拓也、北九州の大谷幸輝の復帰も決定している。いずれにせよ、メンバーを固定しがちだったペトロヴィッチ監督には、適材適所で彼らを使いこなす手腕が問われるだろう。
 
 誰が加わろうとも、今季のようにしっかりと守備に腰を据えながら、いかにシュートとゴールを意識するのか。2015年、それが浦和のテーマになりそうだ。

文:塚越 始(週刊サッカーダイジェスト)
 
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