「沖縄サッカー」の厳しい現実。独自の教員制度に苦しみながら子供と先生は必死に…

カテゴリ:高校・ユース・その他

龍フェルケル

2019年09月24日

外から見れば絵に描いたようなパラダイスだが…。

雨の多さも沖縄サッカーの特徴のひとつ。写真:龍フェルケル

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“偽り”の楽園――。今回の沖縄高校サッカー取材では、それを踏まえながら写真を撮ることに重点を置いた。
 
 取材期間中は台風が通過して雨が降り続けたが、沖縄ではごく普通だと聞かされた。土砂降りの中で走る選手や雨をしのぐ選手など、雨と共に生きる彼らを撮った。燦燦と輝く太陽の下で活動する姿よりも、雨と雷の間を走り抜けていく姿に心が震えた。
 
 ビーチ練習中の選手たちは和気藹々とする瞬間もあれば、疲れ切って膝がガクガクになる時もある。ファインダー越しに覗くと、汗と砂でまみれた姿は実に美しい。外地からの旅行者が日光浴を満喫する隣で、ボールを追いかける子供たち――。シャッターを押すのに夢中になった。
 
 とくに意識して撮ったのが、「太陽と影」だ。例えばヨーロッパのチャンピオン・リーグはナイターで行われる一方、沖縄の高校生たちは太陽の下でボールを追いかける。前者のピッチが芝なのに対し、後者のグラウンドは土だ。沖縄を灼熱に包む日光の反射と、その影がコントラストのようで美しかった。
 
 全ての取材を終えて写真の整理をしながら自分自身に問いかけてみた。
 
「沖縄サッカーが何か分かったか?」
 
 外から見れば絵に描いたようなパラダイス。しかし、近づけば近づくほどそれが幻だと痛感させられる。普段はドイツに住む僕からすれば、いま日本が抱えている「余裕のなさ」を凝縮してサッカーにしたのが沖縄サッカーのような気がした。
 
 選手と監督たちが限られた条件の中、孤立された離島でもがきながら前に進もうとしている様を、写真に映し出せていれば幸いだ。
 
文・写真:龍フェルケル

【PHOTO】「沖縄サッカー」の真実。写真家・龍フェルケルの撮り下ろし
 
【プロフィール】
龍フェルケル/ドイツと日本のクォーターで、現在はベルリン在住の写真家。1976年2月23日、東京・中落合生まれ。14~18歳を香港で過ごし、18~24歳までアメリカで法廷心理学を専攻。その後にロンドン、パリを渡り歩き2012年から現在までベルリン。写真は2006年にロンドンで脱サラしてはじめ、日本では『サッカーダイジェスト』や『ナンバー』など各媒体で活躍する。ロシアW杯写真集『No hands 2』はnohands2.comにて購入可能で、お問い合わせはryu@ryusha.com。インスタグラムは@toksuede。
 
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