「沖縄サッカー」の厳しい現実。独自の教員制度に苦しみながら子供と先生は必死に…

カテゴリ:高校・ユース・その他

龍フェルケル

2019年09月24日

「強化という意味で、沖縄の高校はかなり不利」

沖縄では継続的な強化が難しい現実が。写真:龍フェルケル

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 この独特の教員制度について、西原高校の玉城真也監督はこう語る。
 
「個人的には最悪な制度だと思います。指導者が一つの学校でしっかりした指導を確立するためには、ある程度の時間が必要です。7年では短すぎる。一見すると十分なように感じるかもしれないですが、そうじゃないんです。一つの高校で、絶対的なサッカーのスタイル、生徒の卒業後まで見据えた指導を作り上げるには、最低でも5年はかかる。現状の制度は大きな問題を抱えていると思います」
 
 さらに、那覇西高校の平安良太監督はこう話してくれた。
 
「赴任してすぐに、チームの形を作るのはとても難しいことです。ようやくチームができてきて『さあ、ここから』という時には、もう私たちは異動の対象になっている。親御さんたちからすれば、『自分の子供を来年行かしたいですけど、3年生になった時に先生はまだ学校にいますか?』となりますよね。そんな事情もあって生徒が集まりにくいし、チームを作りにくい。強化という意味で、沖縄の高校はかなり不利だと思います」
 
 そして、本部高校の上間良哉監督はこう指摘する。
 
「チームを強化していくには時間がかかります。7年だとようやく土台ができるだけ。その土台ができたと思ったら、こっちは転勤しなければいけない。監督が変わればもちろん新しいスタイルになるので、またゼロからのスタートになる。これでは継続した指導が難しいという厳しいのが現状です。県外のチームには7年という期限はなく、一人の指導者が10年、20年とチームを率いている。沖縄もそうなれば、もっと継続した強化ができるんですけどね」
 
 深刻な問題だ。指導者と選手達がギリギリのところで頑張ってはいるが、こうした状況が続けば沖縄サッカーの進化は望めない。外からはパラダイスのように見えていた沖縄だが、サッカーを取り巻く現実は実に厳しいものだった。
 
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