「ナビスコ杯のガンバ戦で似たような場面があった。躊躇しなくて良かった」
――PKを与えたプレーについても改めて聞かせてください。エリア内で宙に浮いたルーズボールの奪い合いで、試合後に大島選手自身が語っていたように、『(ヘッドで)中に入れられるのが嫌だった』から競りに行った結果、ジャンプしなかった相手に乗りかかる形でファウルを取られました。少なくとも意図のあるプレーだったし、“軽率なファウル”という見方には違和感があります。
「でも本当にファウルはいらなかったし、もう少し待てば良かったとは思います」
――それこそ結果論で、仮にあそこで大島選手が飛ばずに、相手にヘッドで折り返されて失点につながれば、“なんで競らないんだ”と間違いなく言われたはずです。
「何を言われても構いませんが、結果的にPKを与えたのは事実なので、責任は感じています。ただ、自分の中では意図があったし、おそらくJリーグで同じようなシーンがあっても……実は、この前のナビスコカップのガンバ戦で、少し似たような場面があったんです。それは友だちからも『韓国戦みたいだった』とか『ちょっと焦った?』って聞かれましたね」
――韓国戦が頭をよぎった?
「正直、よぎりました。飛ぼうとした瞬間、相手が目の前にいて『あっ』と思ったんですけど、でもやっぱり飛ばないのはダメというか、ボールにはチャレンジするべきだ、と。その時は相手もちょっと飛んで、競り合う形になったんですけど、躊躇しなくて良かったです」
――“もし同じ場面が訪れたら、同じように競りに行っているか”という質問をしようと思っていたのですが、手間が省けました(笑)。
「もっと冷静な目というか、韓国戦でPKを与えるプレーの少し前に、秋野(央樹)を背負っていた選手が、何もされてないのに転んでいるのを見て、ファウルをもらおうとしている選手がいるなというのは分かっていたんです。そういう意味では、飛ばない判断も必要だったかもしれませんが、ガンバ戦の時、頭によぎっているのに飛んでいるので。やっぱり飛ぶと思います」
――接戦となった韓国戦は、結果を抜きにすれば、チーム全員が戦う姿勢を見せていたし、充実感を得られたゲームだったのでは?
「敗れたイラク戦、特に前半は多くの選手が球際の差を痛感したと思うのですが、韓国戦はみんな本当に頑張っていたし、最後まで身体を投げ出して戦っていた。あの雰囲気も含めて、滅多に味わえない体験というか、楽しかったと言えば語弊があるかもしれませんが、すごく充実した時間でしたね」
――アジア大会で約3週間を過ごして、チームとしての土台が固まった印象はありますか?
「同じメンバーであれば次もやりやすさはあるのでしょうけど、下の世代や海外でプレーしている選手が入ってくれば、そうはいかない。自分自身もまだまだ成長しなければいけないので、そこで選ばれて、また一から始まるのかなと思っています。だからこそ、自分をまた選んでもらった時には、よりチームを良くするためにプレーしたいし、少しでも早くチームのことを理解してもらえるように、いろいろと伝えていきたいとも考えています」
――まずは自分をさらに高めることに集中して、そのうえでなお、チームのことも考える。その作業は決して簡単ではないと思いますが、自身の成長の糧にもなるはず。
「それができて、チームをコントロールできる人は、本当に数は少ないですよね。だから、自分ができるようになれば、選手としても成長するだろうし、フロンターレの一員としても、チームがタイトルを獲れるように、いい方向に進んで行くための力になれると思っています」
■プロフィール■
おおしま・りょうた/ 1993年1月23日生まれ、静岡県出身。168センチ・64キロ。静岡学園高̶川崎。J1通算63試合・3得点。正確な技術と緻密なポジショニングが売りのプレーメーカー。テンポの良いパス捌きも定評あり。アジア大会ではキャプテンを務め、逞しさが増した印象だ。
取材・文:広島由寛(週刊サッカーダイジェスト)
写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト)
「でも本当にファウルはいらなかったし、もう少し待てば良かったとは思います」
――それこそ結果論で、仮にあそこで大島選手が飛ばずに、相手にヘッドで折り返されて失点につながれば、“なんで競らないんだ”と間違いなく言われたはずです。
「何を言われても構いませんが、結果的にPKを与えたのは事実なので、責任は感じています。ただ、自分の中では意図があったし、おそらくJリーグで同じようなシーンがあっても……実は、この前のナビスコカップのガンバ戦で、少し似たような場面があったんです。それは友だちからも『韓国戦みたいだった』とか『ちょっと焦った?』って聞かれましたね」
――韓国戦が頭をよぎった?
「正直、よぎりました。飛ぼうとした瞬間、相手が目の前にいて『あっ』と思ったんですけど、でもやっぱり飛ばないのはダメというか、ボールにはチャレンジするべきだ、と。その時は相手もちょっと飛んで、競り合う形になったんですけど、躊躇しなくて良かったです」
――“もし同じ場面が訪れたら、同じように競りに行っているか”という質問をしようと思っていたのですが、手間が省けました(笑)。
「もっと冷静な目というか、韓国戦でPKを与えるプレーの少し前に、秋野(央樹)を背負っていた選手が、何もされてないのに転んでいるのを見て、ファウルをもらおうとしている選手がいるなというのは分かっていたんです。そういう意味では、飛ばない判断も必要だったかもしれませんが、ガンバ戦の時、頭によぎっているのに飛んでいるので。やっぱり飛ぶと思います」
――接戦となった韓国戦は、結果を抜きにすれば、チーム全員が戦う姿勢を見せていたし、充実感を得られたゲームだったのでは?
「敗れたイラク戦、特に前半は多くの選手が球際の差を痛感したと思うのですが、韓国戦はみんな本当に頑張っていたし、最後まで身体を投げ出して戦っていた。あの雰囲気も含めて、滅多に味わえない体験というか、楽しかったと言えば語弊があるかもしれませんが、すごく充実した時間でしたね」
――アジア大会で約3週間を過ごして、チームとしての土台が固まった印象はありますか?
「同じメンバーであれば次もやりやすさはあるのでしょうけど、下の世代や海外でプレーしている選手が入ってくれば、そうはいかない。自分自身もまだまだ成長しなければいけないので、そこで選ばれて、また一から始まるのかなと思っています。だからこそ、自分をまた選んでもらった時には、よりチームを良くするためにプレーしたいし、少しでも早くチームのことを理解してもらえるように、いろいろと伝えていきたいとも考えています」
――まずは自分をさらに高めることに集中して、そのうえでなお、チームのことも考える。その作業は決して簡単ではないと思いますが、自身の成長の糧にもなるはず。
「それができて、チームをコントロールできる人は、本当に数は少ないですよね。だから、自分ができるようになれば、選手としても成長するだろうし、フロンターレの一員としても、チームがタイトルを獲れるように、いい方向に進んで行くための力になれると思っています」
■プロフィール■
おおしま・りょうた/ 1993年1月23日生まれ、静岡県出身。168センチ・64キロ。静岡学園高̶川崎。J1通算63試合・3得点。正確な技術と緻密なポジショニングが売りのプレーメーカー。テンポの良いパス捌きも定評あり。アジア大会ではキャプテンを務め、逞しさが増した印象だ。
取材・文:広島由寛(週刊サッカーダイジェスト)
写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト)