類似する将棋脳とサッカー脳。レベルアップの一助にもなる!?
波戸や野月がサッカーと将棋に深い親和性を感じたのは、実は決して特殊なことではなかった。それは冒頭で紹介したサッカーファンの反応からも分かる。将棋はこれまで、難解でハードルの高いゲームと思われてきた。
だが、一度その扉を開けてみると、サッカーを楽しむ際の刺激と同じ要素がたくさん詰まっている。これまでのサッカー×将棋コラボは、どちらかと言えば将棋界側からの普及の意欲によって進んで来た面がある。
しかし、サッカー界としても、その魅力を伝えるのに将棋を活用できる部分はあるはずだ。サッカーを知的ゲームとして捉えるならば、戦術面から楽しみたいファンを引きつけるには、うってつけのコンテンツとなり得るだろう。コラボが持つ可能性はまだまだ広がりそうだ。
波戸や野月の周辺とはまったく別のところで、サッカーと将棋の類似を表現に使う例も目にした。ブラジル・ワールドカップ前に放送されたNHKスペシャル「ミラクルボディー」では、スペイン代表のシャビを被験者にした実験を紹介。最良のパスの出し所を選び取る空間認識力の高さが示され、そうした経験の記憶を蓄積することによって形成される直感力が、考えるより先にパスを出す「判断の速さ」を生んでいるとした。
そしてそれは「プロ棋士が次の一手を直感で決める時の脳の活動によく似ている」と例えられたのである。
将棋脳とサッカー脳の関連では、波戸がこんな話をしてくれた。
「高校までFWだった僕がプロになってDFに転向した時に、イメージしたのは将棋。『相手がこう来た時のためにここをケアしなければ』という守りの読みは将棋からです。将棋を知らない人よりも、先を読む力は絶対に持っていたと思う」
サッカー×将棋のコラボレーションは、今後もじわじわと共感者を増やしながら続いていきそうだ。横浜と山形は、来季もコラボイベントの実施を予定している。「モンテディオがJ1に昇格したら、F・マリノスと合同で将棋コラボイベントをしたい」と語る波戸は、将棋界との新たなコラボプロジェクトも準備中だという。
「将棋」と聞いただけで「難解かも」とスルーすることなかれ。サッカーが好きなら、一度は覗いてみる価値のある世界なのだ。
取材・文・写真:頼野亜唯子(フリーライター)
協力:横浜F・マリノス
だが、一度その扉を開けてみると、サッカーを楽しむ際の刺激と同じ要素がたくさん詰まっている。これまでのサッカー×将棋コラボは、どちらかと言えば将棋界側からの普及の意欲によって進んで来た面がある。
しかし、サッカー界としても、その魅力を伝えるのに将棋を活用できる部分はあるはずだ。サッカーを知的ゲームとして捉えるならば、戦術面から楽しみたいファンを引きつけるには、うってつけのコンテンツとなり得るだろう。コラボが持つ可能性はまだまだ広がりそうだ。
波戸や野月の周辺とはまったく別のところで、サッカーと将棋の類似を表現に使う例も目にした。ブラジル・ワールドカップ前に放送されたNHKスペシャル「ミラクルボディー」では、スペイン代表のシャビを被験者にした実験を紹介。最良のパスの出し所を選び取る空間認識力の高さが示され、そうした経験の記憶を蓄積することによって形成される直感力が、考えるより先にパスを出す「判断の速さ」を生んでいるとした。
そしてそれは「プロ棋士が次の一手を直感で決める時の脳の活動によく似ている」と例えられたのである。
将棋脳とサッカー脳の関連では、波戸がこんな話をしてくれた。
「高校までFWだった僕がプロになってDFに転向した時に、イメージしたのは将棋。『相手がこう来た時のためにここをケアしなければ』という守りの読みは将棋からです。将棋を知らない人よりも、先を読む力は絶対に持っていたと思う」
サッカー×将棋のコラボレーションは、今後もじわじわと共感者を増やしながら続いていきそうだ。横浜と山形は、来季もコラボイベントの実施を予定している。「モンテディオがJ1に昇格したら、F・マリノスと合同で将棋コラボイベントをしたい」と語る波戸は、将棋界との新たなコラボプロジェクトも準備中だという。
「将棋」と聞いただけで「難解かも」とスルーすることなかれ。サッカーが好きなら、一度は覗いてみる価値のある世界なのだ。
取材・文・写真:頼野亜唯子(フリーライター)
協力:横浜F・マリノス