【Jコラム】将棋をやればサッカーがより面白く、よりうまくなる!? 広がるコラボの可能性

カテゴリ:Jリーグ

頼野亜唯子

2014年10月29日

漫画というクッションがコラボのハードルを下げた。

今年1月にあった波戸の引退試合で、日本将棋連盟の谷川浩司会長から将棋親善大使の委嘱状が手渡された。

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 実は日本将棋連盟にはサッカー部があるほどで、サッカー好きな棋士は多い。なかでも野月のフリークぶりは群を抜いている。年間約50試合を生観戦し、海外サッカーにも精通する野月は、かつて自らが多用した「横歩取り8五飛車」という戦法をベッカムのクロスに例えて棋士仲間の冷笑を買った。
 
 遠征の移動中に詰将棋に没頭し「なにやってんの?」とチームメイトから訝しがられた波戸にとって、野月はある意味「同志」と呼べる存在かもしれない。
「野月さんは現役の棋士でありながら普及活動も積極的にされていて、すごくフットワークがいい。野月さんがいなかったら、こんなに将棋の活動はできていなかった」
 
 野月の紹介で、波戸は将棋番組でプロ棋士と対局することになる。対局に向けて野月らサッカー好きの棋士から“特訓”を受けるなかで実力を認められ、初段の免状を授与されたのが12年12月。以来、テレビや雑誌など将棋関連のメディアへの露出が増え、将棋ファンの間にその存在が認知されていく。
 
 時を同じくして、野月が監修を務める将棋×サッカー漫画『ナリキン!』(秋田書店・鈴木大四郎著)の連載が始まっていたのも、コラボを後押しした。サッカーと将棋の間に漫画というクッションが入ることで、スタジアムに将棋を呼び込みやすくなったのは確かだ。
 
 13年には波戸の所属する横浜と、将棋の街・天童に拠点を置く山形がそれぞれに、プロ棋士や『ナリキン!』を巻き込んだ将棋コラボイベントを実施。さらにこの年の末、自らもアマチュア三段の免状を持つ“将棋系サッカーライター”いしかわごうが、野月の監修を得て『将棋でサッカーが面白くなる本』(フロムワン)を出版。なぜサッカーと将棋なのか、驚くほど多様なイメージの重なりを細かく解説してみせた。
 
 そして今年1月、日本将棋連盟は波戸に「将棋親善大使」を委嘱。波戸の引退試合の場で、谷川浩司会長から委嘱状が手渡された。プロ野球の井川慶選手(オリックス)に続くふたり目の親善大使である(その後、俳優の渡辺徹、タレントのつるの剛士も就任)。
 
「F・マリノスのアンバサダーと将棋親善大使。ふたつの活動を通じて、サッカーと将棋双方の新たなファンを開拓することになると思う」
 こうして波戸は、新たなチャレンジに挑むことになった。
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