武南を日本一に導いた埼玉の名将が勇退。46年に及ぶ波瀾万丈の日々に終止符を打つ

カテゴリ:河野 正

サッカーダイジェストWeb編集部

2019年04月18日

老兵は死なず、ただ消え去るのみ──。

大山イズムを受け継ぐ内野慎一郎監督(右奥)と津島公人コーチ(左)。名門復活のミッションを担う。写真:河野正

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 2006年度の第85回大会を最後に全国高校選手権の出場を逃し、無念のうちに退任した。
 
 指導法が頭打ちになったことも伸び悩んだ原因のひとつだそうだ。「新しいメニューが減り実戦練習から入ったが、あのグラウンドでは紅白戦も組めない。試合感覚を高めたい時にそれができなかった。グラウンドがある有利、不利を痛感した」と、なんとも悔しそうに話した。
 
 歴代ベストイレブンや出色の試合5選などは語れないという。強かった時のチーム、優勝を決めた試合ばかりが良き思い出ではないからだ。「選手やコーチらと一緒に目標に向かって進んだから価値がある。勝てばもちろん、負ければより頑張れたし我慢もできた。喜びも苦しみも共有できたことが財産、宝物だ」と、46年に及ぶ生業を回顧した。
 
 アドバイザーという肩書で練習に顔を出し、試合ではベンチにも入ったが、昨年度からともに教え子の内野慎一郎監督、津島公人コーチを中心とした体制に一変。「指導者が代わればチームも変わるので、改革に取り組むのはいいことですよ。それには積極的に新しいことを学ばないといけない」と後継者にエールを送り、「これからはあまり近づかず、遠くから見守っていきたい」と述べた。
 
 老兵は死なず、ただ消え去るのみ──といった胸中なのだろう。
 
取材・文●河野 正
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