「とにかく結果を残したい。新しいチームだし、インパクトが必要」
8月末、リスボンをあるニュースが駆け巡った。
『田中が日本代表に復帰』
所属先のスポルティングが、招集のレターが届いたことを公式に発表したのである。それは田中に期待するスポルティングファンを喜ばせ、日本にまで知れ渡った。
田中は2012年の親善試合・アイスランド戦で日本代表にデビューしている。今回は2年半ぶりの招集だ。当時の代表で過ごした数日間は、田中にとっては大きな経験となった。
「アイスランド戦の時は、まだ浮き足立っていました。プロ3年目で自分がどうやっていいか分からないままだった。感覚的に、代表に入るのはまだ早かった。メンタルが自分のいる場所についてきてなかったんですよ。大学を出て、すぐにJで優勝してしまった。目標は27歳で代表入りと立てていたんですが、それより数年も早く、ここは未完成では行ってはいけない場所だと思った」
「代表は日本サッカーの頂点で、ストレスも違う。あの頃は自分のなかに幹がなかったので自信もなかった。自信を持ってやっているつもりでも、折れてしまう。その年のシーズンは30数試合で5点しか取れなかった。自信がなくなって、ゲームの入り方で、調子が良い時と悪い時がばらついたんです。代表で周囲の期待値が上がって、自然とミスりたくないと思うようになる。自分は代表選手だからボールを取られたくないと。自分がやらなきゃという思いが変についてしまった。そしてミスを恐れている時は、周りが見えていないんです」
2年半後の代表で受けるのは、ハビエル・アギーレの指導だ。アギーレは運動量や献身を求める監督だ。田中のトータル面での能力が認められたのだろう。
「代表に定着したい想いはあるけど、それは分からない。あの短い時間で結果を出すには、どうしても高い個人能力が必要。ミドルシュートも毎回ばんばん入るわけではない。どうなるか分からないけど、とにかく頑張りたい。欧州と日本を移動しながらのプレーは、ACLで経験しているので、よりタフにはなっている。昔、代表に呼ばれた時よりは、精神的にも。ウルグアイとベネズエラとの2試合ではとにかく結果を残したい。そうでないと、次に呼ばれることもないと思う。新しいチームだし、インパクトが必要ですしね」
代表に入った2年前に折れかけた自信。その記憶は今も残っている。そして今回、リスボンの地で受けた代表招集。スポルティングで切磋琢磨し、代表定着を願う彼の心は、もう揺らぐことはないだろう。
韓国で受けた一本の電話から数か月、田中順也の人生は大きく変わろうとしている。
取材・文:豊福 晋
※『週刊サッカーダイジェスト』9月16日号(9月2日発売号)より
【プロフィール】
たなか・じゅんや/ 1987年7月15日生まれ、東京都出身。181センチ・77キロ。三菱養和SCユースから順天堂大に進み、卒業後に柏に加入。1年目にJ1昇格に貢献し、翌年にはJ1初制覇に貢献する活躍を見せた。今夏、スポルティング移籍を決断し、2年半ぶりの代表復帰も果たす。破壊力抜群の左足が最大の武器で、豊富な運動量も兼備するアタッカーだ。
田中順也選手の公式ブログ「Junya Tanakaオフィシャルブログ」はこちら
『田中が日本代表に復帰』
所属先のスポルティングが、招集のレターが届いたことを公式に発表したのである。それは田中に期待するスポルティングファンを喜ばせ、日本にまで知れ渡った。
田中は2012年の親善試合・アイスランド戦で日本代表にデビューしている。今回は2年半ぶりの招集だ。当時の代表で過ごした数日間は、田中にとっては大きな経験となった。
「アイスランド戦の時は、まだ浮き足立っていました。プロ3年目で自分がどうやっていいか分からないままだった。感覚的に、代表に入るのはまだ早かった。メンタルが自分のいる場所についてきてなかったんですよ。大学を出て、すぐにJで優勝してしまった。目標は27歳で代表入りと立てていたんですが、それより数年も早く、ここは未完成では行ってはいけない場所だと思った」
「代表は日本サッカーの頂点で、ストレスも違う。あの頃は自分のなかに幹がなかったので自信もなかった。自信を持ってやっているつもりでも、折れてしまう。その年のシーズンは30数試合で5点しか取れなかった。自信がなくなって、ゲームの入り方で、調子が良い時と悪い時がばらついたんです。代表で周囲の期待値が上がって、自然とミスりたくないと思うようになる。自分は代表選手だからボールを取られたくないと。自分がやらなきゃという思いが変についてしまった。そしてミスを恐れている時は、周りが見えていないんです」
2年半後の代表で受けるのは、ハビエル・アギーレの指導だ。アギーレは運動量や献身を求める監督だ。田中のトータル面での能力が認められたのだろう。
「代表に定着したい想いはあるけど、それは分からない。あの短い時間で結果を出すには、どうしても高い個人能力が必要。ミドルシュートも毎回ばんばん入るわけではない。どうなるか分からないけど、とにかく頑張りたい。欧州と日本を移動しながらのプレーは、ACLで経験しているので、よりタフにはなっている。昔、代表に呼ばれた時よりは、精神的にも。ウルグアイとベネズエラとの2試合ではとにかく結果を残したい。そうでないと、次に呼ばれることもないと思う。新しいチームだし、インパクトが必要ですしね」
代表に入った2年前に折れかけた自信。その記憶は今も残っている。そして今回、リスボンの地で受けた代表招集。スポルティングで切磋琢磨し、代表定着を願う彼の心は、もう揺らぐことはないだろう。
韓国で受けた一本の電話から数か月、田中順也の人生は大きく変わろうとしている。
取材・文:豊福 晋
※『週刊サッカーダイジェスト』9月16日号(9月2日発売号)より
【プロフィール】
たなか・じゅんや/ 1987年7月15日生まれ、東京都出身。181センチ・77キロ。三菱養和SCユースから順天堂大に進み、卒業後に柏に加入。1年目にJ1昇格に貢献し、翌年にはJ1初制覇に貢献する活躍を見せた。今夏、スポルティング移籍を決断し、2年半ぶりの代表復帰も果たす。破壊力抜群の左足が最大の武器で、豊富な運動量も兼備するアタッカーだ。
田中順也選手の公式ブログ「Junya Tanakaオフィシャルブログ」はこちら