今年8月のCFGの選手スカウト会議に、横浜も担当者を派遣する予定。
その結果が13年度の単年度黒字化だが、これはトップチームの成績なしには考えられなかった。単純に考えて、横浜はリーグ2位で1億円、天皇杯優勝で1億円、ナビスコカップベスト4進出で2000万円と合計2億2000万円の賞金を手にしており、すべてインセンティブに過ぎない。これについては嘉悦社長も冷静なジャッジを下し、同時にだからこそ今回のパートナーシップ契約の重要性を口にした。
「2013年度は各部門の売り上げが過去最高で、ようやく収支は約600万円の黒字でした。でも、それが今のJクラブの実力なんです。これをさらに広げて10億円、20億円の単位でお金を増やすのは、独力では難しい。だから、これからのキーワードは『グローバリゼーション』。CFGとの資本提携は、改革の第二章の始まりです」
もうひとつ、忘れてならないのが強化面のメリットだ。CFGはマンチェスター・Cのほかにメルボルン・シティ、そして来年からMLSに参戦するニューヨーク・シティの経営権を所有している。そこに20パーセント弱の割合ながらも株主となった横浜が加わり、4チームが一堂に会してプレシーズンマッチを行なったとする。日程調整などの障害は残されているが、実現すれば世界を体感する貴重な機会になるだろう。もちろん入場料収入などの付加価値もある。
また、マンチェスター・Cは昨季のプレミアリーグを制した強豪クラブだけに、人材発掘のネットワークは世界トップクラスの規模を誇る。もちろんプレミアリーグとJリーグ、マンチェスター・Cと横浜では欲している選手のクラスは大きく異なるだろうが、今後のディスカッション次第で獲得が現実的な候補選手を絞ることは可能だ。
今年8月にはCFGのスカウト会議が行なわれ、横浜も担当者を現地に派遣する予定だという。あるいはユースやジュニアユースなどの育成組織の選手を夏休みの間だけ短期留学させるなどのプランも挙がっているようだ。
どの部門も一朝一夕で成果を得られるわけではない。ましてやマンチェスター・Cで活躍するワールドクラスのタレントが横浜に即加入するといった単純明快な話でもない。嘉悦社長は「ある時間軸のなかで段階的に良くなっていくでしょう。
そのためにいくつかのアプローチがあり、現在はそれを模索している段階です」と今後の見通しを語る。現時点で間違いなく言えるのは、日産自動車とCFGがパートナーシップ契約を結んだことで、横浜に有形無形の方法でプレミアリーグ屈指の強豪クラブのノウハウが還元されるという事実だ。
日産自動車のカルロス・ゴーン社長は「横浜F・マリノスにはポテンシャルがある。撤退か、進化か。我々は進化させることを選んだ」と強調した。その全貌こそ明かされたわけではないが、無限の可能性を秘めるイノベーションは今後、より大きなスポットライトを浴びていくはずだ。
取材・文:藤井雅彦(ジャーナリスト)
※『週刊サッカーダイジェスト』8月5日号(7月23日発売)より抜粋。
「2013年度は各部門の売り上げが過去最高で、ようやく収支は約600万円の黒字でした。でも、それが今のJクラブの実力なんです。これをさらに広げて10億円、20億円の単位でお金を増やすのは、独力では難しい。だから、これからのキーワードは『グローバリゼーション』。CFGとの資本提携は、改革の第二章の始まりです」
もうひとつ、忘れてならないのが強化面のメリットだ。CFGはマンチェスター・Cのほかにメルボルン・シティ、そして来年からMLSに参戦するニューヨーク・シティの経営権を所有している。そこに20パーセント弱の割合ながらも株主となった横浜が加わり、4チームが一堂に会してプレシーズンマッチを行なったとする。日程調整などの障害は残されているが、実現すれば世界を体感する貴重な機会になるだろう。もちろん入場料収入などの付加価値もある。
また、マンチェスター・Cは昨季のプレミアリーグを制した強豪クラブだけに、人材発掘のネットワークは世界トップクラスの規模を誇る。もちろんプレミアリーグとJリーグ、マンチェスター・Cと横浜では欲している選手のクラスは大きく異なるだろうが、今後のディスカッション次第で獲得が現実的な候補選手を絞ることは可能だ。
今年8月にはCFGのスカウト会議が行なわれ、横浜も担当者を現地に派遣する予定だという。あるいはユースやジュニアユースなどの育成組織の選手を夏休みの間だけ短期留学させるなどのプランも挙がっているようだ。
どの部門も一朝一夕で成果を得られるわけではない。ましてやマンチェスター・Cで活躍するワールドクラスのタレントが横浜に即加入するといった単純明快な話でもない。嘉悦社長は「ある時間軸のなかで段階的に良くなっていくでしょう。
そのためにいくつかのアプローチがあり、現在はそれを模索している段階です」と今後の見通しを語る。現時点で間違いなく言えるのは、日産自動車とCFGがパートナーシップ契約を結んだことで、横浜に有形無形の方法でプレミアリーグ屈指の強豪クラブのノウハウが還元されるという事実だ。
日産自動車のカルロス・ゴーン社長は「横浜F・マリノスにはポテンシャルがある。撤退か、進化か。我々は進化させることを選んだ」と強調した。その全貌こそ明かされたわけではないが、無限の可能性を秘めるイノベーションは今後、より大きなスポットライトを浴びていくはずだ。
取材・文:藤井雅彦(ジャーナリスト)
※『週刊サッカーダイジェスト』8月5日号(7月23日発売)より抜粋。