【日本代表】勝負の分かれ目になった69分の失点、GK川島永嗣の対応は正解だったのか?

カテゴリ:日本代表

清水英斗

2018年07月03日

日本が個で劣るのはどのポジションにも見られる傾向であり、それはGKも同様だった

川島は3失点を悔やみつつ、アグレッシブに戦ったことを「誇れるものだった」と振り返った。(C)Getty Images

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 この手の微妙な失点は、いちばんタチが悪い。ズバーンと決められれば諦めもつくが、何となく「それで決まっちゃうの……」と見えてしまう失点は、気持ちを切り替えるのにエネルギーが要る。そのニュアンスは、上記の大迫の言葉にも少し出ていた。
 
 フェライニ投入から、せめて10分耐えられれば、ベルギーにも迷いが生じただろう。だが、あっさりとゴールの結果が出てしまった。この形、高さ勝負でいけると、ベルギーを乗らせてしまった。これも痛い。続く74分、コーナーキックの流れから、フェライニに同点ゴールを許した。まさに勝負の分かれ目だった。
 
 おそらく、この試合でも川島は、下手な批判にさらされるに違いない。GK目線を持とうとしない人は、シュートの勢いとコース以外、何も見ないからだ。そのシュートとセーブにどんな駆け引きがあったのか。それは原口や乾のゴールも同様だ。そこに目を向けなければ、GK文化の成熟はあり得ない。
 
 日本が個で劣る部分があるのは、どのポジションにも見られる傾向であり、それはGKも同様だった。いや、個で戦う性格がいちばん強いポジションであるため、より如実だった。ベルギーのGKクルトワ、ポーランドのGKファビアンスキ。彼らのパフォーマンスは素晴らしく、今大会の川島はそのレベルに無かった。これは認めなければいけない。

 決して失点場面のことを言っているわけではない。クロスへの飛び出し、パンチング、シュートストップ、キック力。どれもこれも次元の違う能力ばかりだった。また、だからといって、GK育成で遅れを取る日本が、川島以上の誰を、確信を持って送り出せたわけでもない。
 
 2-3で敗れたベルギー戦の後、川島は最初にミックスゾーンに現れた。
 
「正直2-0からワールドカップの舞台でああいう形で負けるのは、非常に受け入れるのが難しい。本気で悔しいですけど、悔いは言ったらキリがないですけど、自分のことだけではなく、日本のサッカーにおいて自分たちの特徴を出して、こういう戦いができた。それは誇れるものだったと信じています」
 
 普通は試合で出番のなかった選手が先に来て、出場した選手はロッカールームで準備を終えてから現れるものだ。それだけに珍しかった。川島の取材対応はそれほど長くはなく、比較的あっさりと終わった。1人になって、整理したい部分があったのかもしれない。
 
 GKは孤独だ。誰にも、その苦労は理解されない。日本代表のGK事情を、今後も憂うばかりである。
 
取材・文●清水英斗(サッカーライター)
 
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