いざ、未知の領域へ――。
しかし、この興奮がチームを後押しする方向に働くのか、それとも逆にプレッシャーとして働くのかは、蓋を開けてみるまで分からないところがある。
近年のナポリにとっては、1試合もしくじることが許されないという極限状態の中で最後の1か月を過ごすというのは、まったく初めての体験だ。チーム内でトップレベルにおけるそうした緊張感を知っているのは、元レアル・マドリーでディフェンスリーダーのラウール・アルビオル、それからリバプール時代にプレミアリーグ制覇を争った守護神ホセ・マヌエル・レイナくらい。サッリ監督やアウレリオ・デ・ラウレンティス会長にとっても、これは未知の領域である。
プラスに働く要因があるとすれば、このチームはいずれにしてもたったひとつの戦い方しかできないところか。サッリ体制になってからの3シーズン、ナポリは相手や状況にまったく左右されることなく、ひたすら己のサッカーを追求し、その戦術的完成度を高めることだけに没頭してきた。
その結果が、ヨーロッパでもジョゼップ・グアルディオラが率いるマンチェスター・シティと並び称されるほど高い評価を受けている、ポジショナルな攻撃サッカーである。
近年のナポリにとっては、1試合もしくじることが許されないという極限状態の中で最後の1か月を過ごすというのは、まったく初めての体験だ。チーム内でトップレベルにおけるそうした緊張感を知っているのは、元レアル・マドリーでディフェンスリーダーのラウール・アルビオル、それからリバプール時代にプレミアリーグ制覇を争った守護神ホセ・マヌエル・レイナくらい。サッリ監督やアウレリオ・デ・ラウレンティス会長にとっても、これは未知の領域である。
プラスに働く要因があるとすれば、このチームはいずれにしてもたったひとつの戦い方しかできないところか。サッリ体制になってからの3シーズン、ナポリは相手や状況にまったく左右されることなく、ひたすら己のサッカーを追求し、その戦術的完成度を高めることだけに没頭してきた。
その結果が、ヨーロッパでもジョゼップ・グアルディオラが率いるマンチェスター・シティと並び称されるほど高い評価を受けている、ポジショナルな攻撃サッカーである。
相手の強みを消し、その隙を突いてゴールを奪い、それをきっちり守り切るというイタリア的なスタイルとは明らかに一線を画すナポリのサッカーには、もはや迷ったり、ブレたりする余地はまったくないと言ってもいい。
なにしろ、システムはもちろんメンバーすらも、ほとんど固定されているのだ。後は泣いても笑ってもこれをやり切る以外にはない、というところまで突き詰められている。その意味で話はシンプルだ。
まず最初の関門となるのは今週末、4月29日の日曜日に18時から敵地フィレンツェでのフィオレンティーナ戦だ。ユーベは前日の土曜日にサン・シーロでインテルと戦い終えているため、その結果によってチームにかかるプレッシャーの質も違ってくる。週末のセリエAからは目が離せない。
文:片野道郎
【現地発】ユーベにはまさかの逆風…どうなるスクデット争い?(前編)
【著者プロフィール】
1962年生まれ、宮城県仙台市出身。1995年からイタリア北部のアレッサンドリアに在住し、翻訳家兼ジャーナリストとして精力的に活動中だ。カルチョを文化として捉え、その営みを巡ってのフィールドワークを継続発展させている。『ワールドサッカーダイジェスト』誌では現役監督とのコラボレーションによる戦術解説や選手分析が好評を博す。新著『それでも世界はサッカーとともに回り続ける:「プラネット・フットボール」の不都合な真実』が2017年12月に刊行された。