ユーベは強靭なメンタルと成熟度が問われる。
しかも、このナポリ戦に関しては負け方が悪い。
ユーベは絶対王者としてナポリを迎え撃ち、力でねじ伏せようとするよりも、相手の攻撃を耐え抜いて0-0で逃げ切ろうというきわめて消極的な戦い方を選択。主導権を相手に渡してチームの重心を下げ、前線のゴンサロ・イグアインとパオロ・ディバラまで動員して守りを固めたのだ。
90分間を通して、最後の30mでナポリにスペースを与えないことだけしか考えていなかったことは、オープンプレーからのシュートがわずかに1本、枠内シュートが0本という数字が端的に示している。
もしこれで試合が0-0で終わっていれば、ユーベのシニカルなリアリズムが少なくともイタリアでは賞賛の的になっていたに違いない。
しかし結果的には、前後半を通して押し込まれながらも耐えていた最後の最後で、セットプレーからゴールを割られるという最悪の展開で敗北。勝ちに行くことを最初から放棄したかのような戦いの末に逃げ切り損ねたのだから、この敗北にポジティブな要素を見出すことは非常に困難だ。
ユーベは絶対王者としてナポリを迎え撃ち、力でねじ伏せようとするよりも、相手の攻撃を耐え抜いて0-0で逃げ切ろうというきわめて消極的な戦い方を選択。主導権を相手に渡してチームの重心を下げ、前線のゴンサロ・イグアインとパオロ・ディバラまで動員して守りを固めたのだ。
90分間を通して、最後の30mでナポリにスペースを与えないことだけしか考えていなかったことは、オープンプレーからのシュートがわずかに1本、枠内シュートが0本という数字が端的に示している。
もしこれで試合が0-0で終わっていれば、ユーベのシニカルなリアリズムが少なくともイタリアでは賞賛の的になっていたに違いない。
しかし結果的には、前後半を通して押し込まれながらも耐えていた最後の最後で、セットプレーからゴールを割られるという最悪の展開で敗北。勝ちに行くことを最初から放棄したかのような戦いの末に逃げ切り損ねたのだから、この敗北にポジティブな要素を見出すことは非常に困難だ。
そして次節は、敵地サン・シーロでのイタリア・ダービーを迎える。インテルは4月初めの不振が響いてCL圏内から脱落するというせっぱ詰まった状況に置かれており、この試合に臨むモチベーションは間違いなく最高潮だ。
ユーベはここ5年、春先までに独走体制を築き、最後は流しながらも楽々と優勝を決めるというシーズンを繰り返してきた。その間にチームの顔ぶれも少なからず入れ替わり、シーズン終盤のハードな優勝争いを勝ち切った経験を持っているのは、レギュラー陣ではブッフォンとジョルジョ・キエッリーニくらいだ。
しかもそのキエッリーニは、ナポリ戦で負った太腿の肉離れで、今シーズン絶望の可能性が高い。この最終局面で風向きが変わり、逆風に晒されるというこの難しい状況にどう立ち向かい、残り4試合をいかに戦うのか。絶対王者ユーベは今、メンタルの強靭さと成熟度が問われている。
文:片野道郎
後編(4月26日アップ予定)に続く。
【著者プロフィール】
1962年生まれ、宮城県仙台市出身。1995年からイタリア北部のアレッサンドリアに在住し、翻訳家兼ジャーナリストとして精力的に活動中だ。カルチョを文化として捉え、その営みを巡ってのフィールドワークを継続発展させている。『ワールドサッカーダイジェスト』誌では現役監督とのコラボレーションによる戦術解説や選手分析が好評を博す。新著『それでも世界はサッカーとともに回り続ける:「プラネット・フットボール」の不都合な真実』が2017年12月に刊行された。