【W杯ドキュメント】メンバー発表のドラマ|トルシエ流 ロジックの魔力

カテゴリ:日本代表

週刊サッカーダイジェスト編集部

2014年05月08日

綿密に検証すべきトルシエと日本サッカーの関係。

結果的に日本中がトルシエ監督と一蓮托生となった2002年。代表監督と協会の関係という課題が後に残された。 (C) SOCCER DIGEST

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 おとぎ話は、たいてい「むかし、むかし」ではじまる。この呪文さえあれば、桃から人が出てきても許される。トルシエ監督は「ロジック」、つまりは論理という“呪文”を何度となく使ってきた。メンバーの選定も「技術、戦術、フィジカル、そしてメンタルを総合した判断」と言われれば、周囲は黙ってきた。
 
 そこに曖昧模糊としたものを感じることはあっても、要所で結果を残してきたトルシエ監督の呪文を否定できなかった。中村俊が代表の力になる戦力だと思っていても、監督が「フィジカル」や「メンタル」を中村への不満の要因に挙げ、それが「ロジック」だと言えば、誰も真っ向から反論できなかった。
 
 結局、全体を四捨五入すれば、日本サッカー界はトルシエ監督を認め、(たとえ消極的な姿勢であれ)ワールドカップを託したのである。だから、ここにいたってトルシエ監督の選考に強く異を唱えるのは、自分たちの無能さをさらけ出す行為であり、リストから外れた選手から失笑を買うことだろう。
 
 ここまでの話が、ワールドカップを目前に控えた日本代表にとって何ひとつ建設的でないことは、ただただ申し訳ない。しかし、ワールドカップで日本がどんな成績を残すにせよ、トルシエ監督と日本サッカー界との関係というものは、いずれ綿密に検証しておくべきだろうと“5月17日”を受けて痛感する。
 
 結果として、トルシエ監督にかなりの自由を与えた日本サッカー界は、ワールドカップを終えた後に何を手にしているのか。選考から漏れた選手たちが口々に言っていた通り、今回のワールドカップですべてが終わりではない。
 
 そして、万が一、日本が好成績を残せなかったとしても、それをトルシエ監督だけのせいにするのは、きっと責任転嫁になるのだろうと思う。
 
 
※週刊サッカーダイジェスト2002年6月5日発売号より抜粋&整理
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